2004/02/08 草津芳ヶ平

目的地
草津芳ヶ平
地域
上信越
日時
2004/02/08
コース
草津スキー場(逢の峰)~芳ヶ平~渋峠~志賀草津道路~芳ヶ平~草津スキー場(天狗山)
メンバー
単独
装備
Rossignor:T2/G3:TARGA T/9, Scarpa:T2('97)
天気
快晴

コースデータ

コースタイム
逢の峰ロマンスリフトトップ[9:40]→[11:00]芳ヶ平ヒュッテ[11:20]↑[13:00]渋峠→[13:15]志賀草津道路からの滑降ポイント[13:25]↓[14:00]芳ヶ平ヒュッテ[14:30]↓[15:20]天狗山ゲレンデ
山行時間
05:39
実移動時間
05:16
最高高度
2173m
最低高度
1263m
累積標高差(登り)
528m
累積標高差(下り)
1346m
移動距離
13.97km
平均速度※1
2.65km/h

※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度

グラフ

記事

渋峠-草津ルートといえば古くから知られたクラシックルートだが、登山口と下山口が離れているため車で行くには面倒で、これまで滑ってみようという気にはなれなかった。
が、最近出たガイドブックに草津スキー場を起点に渋峠まで登るルートが紹介されている。しかも渋峠まで登らずとも、天候の悪い日など芳ヶ平ヒュッテからそのまま下っても十分楽しめる様子。それならばほとんど登らずに、標高差600m、距離にして6kmの下りを楽しめるわけだ。傾斜もゆるやかで、初心者には最適そうではないか。初心者向けの良いコースを探していたこともあり、偵察を兼ねて行ってみることにした。
が、結論から言えばかなり期待はずれ。芳ヶ平ヒュッテからの長くクネクネした林道ルートが、楽しめないどころか、難しく、ひたすら辛いのだ。
それ以外は非常に気分の良いコースであった。芳ヶ平の広大な風景や、志賀草津道路南東のカール状の斜面は非常に魅力的で、そしてなにより芳ヶ平ヒュッテの存在はありがたい。
それだけに「下の林道滑りさえなければ……」という感じなのだが、もしかすると雪が落ち着けばこの林道も楽に滑れるようになるのかもしれない。他にも滑降ルートがとれるようだし、今回だけでイマイチと判断するのは早計かも。

[1] 09:37 2081m<br />
[1] 09:37 2081m
[2] 09:43 2067m<br />
[2] 09:43 2067m

松戸から3時間で07:30に到着。早速出発しようとするも、ロープウェーは9時頃でないと運行しないという。また、その上の逢の峰リフトも除雪で準備が遅れ、結局9:30頃まで待たされる。
ちなみにスタート地点となる逢の峰へはリフト3本(計1,050円)とロープウェー1本(900円。ロープウェー山麓駅にて販売)。ロープウェー山麓駅までの無料シャトルバスを使えばリフト2本分をパスすることもできる。
「登山届は必ず提出すること」とガイドブックに書かれていたので、ロープウェー降り口のパトロール詰め所に立ち寄る。某スキー場のパトロールと違い非常に好意的で、いろいろアドバイスをもらう。曰く「ずっと降雪が続いた後の最初の入山だから、ラッセルがきついですよ」とのこと。たいした距離ではなく、逆に新雪一番乗りが約束された訳なので「イヤ、全然問題ないです」と笑顔で答える。が、実のところこの週は体調不良で3日ほど寝込んでおり、食事も満足にとれていない。実は全然問題なのであった。
逢の峰リフトを降りると手つかずの深いパウダーが広がる(P1)。少し北へトラバースすると、これから進む湯釜の斜面がよく見える(P2)。逢の峰を北に廻りすぎるとクラスト気味になるため、ほどほどの場所から白根レストハウスの東側を目指して滑り降りる。雪が深すぎてあまり進まない。手つかずの広い斜面なのに、ほとんど直滑降で降りるしかない(P3)。

[3] 09:59 2003m<br />
[3] 09:59 2003m
[4] 10:13 2024m<br />
[4] 10:13 2024m
[5] 10:39 1975m<br />
[5] 10:39 1975m
[6] 11:00 1831m<br />
[6] 11:00 1831m

白根レストハウス東側でシールを付け、湯釜のある斜面を北東にトラバースしていく。普段は風が強いのか、斜面上はところどころ岩が出ている(P4)。後でGPSの軌跡を見ると、岩を避けて無駄に登り過ぎていたようだ。通常はだいたい標高2000m上をトラバースしていけばよいだろう。
北東に向かっていた斜面が北向きになり、上部がゴツゴツした岩場(P6に見えるピーク)になる辺りで、晴れていれば芳ヶ平ヒュッテが見えるようになる(P5。この写真は105mm程のズームなので、実際はもっと遠くに見える)。ここからは下りなのでシールをはずして構わないが、どうせまたすぐに付ける羽目になるので、このままシールを付けて滑ることにする。
芳ヶ平ヒュッテに近づくと、ご主人が出てきて遠くから呼びかけられる。
「XXさんですね~!?」
パトロールとヒュッテで無線で連絡しあい、常時ツアー者の所在を確認しているのだ。正直監視されているようで窮屈に感じなくもないが、素晴らしいシステムではある。個人の遊びにここまでやっていただいて申し訳なくもある。

[7] 11:06 1831m<br />
[7] 11:06 1831m

感じの良い管理人夫妻と2匹の犬に迎えられ、ヒュッテにてしばし休憩。午前11時だというのに、他に人はいない。列をなして人がやってくると思っていただけに、ちょっと意外。リフト開始時間の関係で、草津からのツアラーはスタートが遅いようだ。
休憩もそこそこに、渋峠へ向かう。幸い昨夜芳ヶ平ヒュッテに泊まったパーティがいて、峠へのトレースがしっかり付いている。病後の体力が思った以上に回復しておらず、ここまで来るのですら休み休みだっただけに、当初の「ラッセルは問題ない」との思いはどこへやら、ありがたくトレースを使わせていただく。
登りは夏道を通る。ここはへリスキーや渋峠~草津ルートのオリジナルの滑降コースでもある。斜度は適度にゆるやかなので初心者にはちょうど良いだろう。ただしこの日は雪が深すぎ、この程度の斜度では直滑降でないと進まないようであった。また、滑るコースが割と限定されるため(特に上部はコース用に木が切り開かれている)、ヘリスキーの一群が通るとそれだけでコースがグダグダに荒らされてしまう(P9-P11はその跡)。

[8] 11:31 1861m<br />
[8] 11:31 1861m
[9] 11:59 1983m<br />
[9] 11:59 1983m

登るにしたがって、通常とは逆にスキー場のリフト乗り場の音が近づいてくる。志賀横手山スキー場の渋峠ゲレンデだ。
予定では渋峠の手前で左にショートカットし、志賀草津道路に直接出ようと思っていたのだが、木が密でコースから抜けるタイミングが掴めず、結局そのままゲレンデ前に出てしまった。山を登った末にこのような人工の景色が広がるというのはなんとも興ざめ。立派なレストランまである。
それにしてもここまでで1時間半。トレースがあるのでヒュッテまで1時間ちょいで往復できると思っていたのに、だいぶかかっている。よほど体力が落ちているようだ。

[10] 12:09 2020m<br />
[10] 12:09 2020m
[11] 12:55 2144m<br />
[11] 12:55 2144m
[12] 13:01 2153m<br />
[12] 13:01 2153m
[13] 13:03 2154m<br />
[13] 13:03 2154m

渋峠から志賀草津道路を南に進むと、やがて左側がすり鉢状に切れ落ちている場所に辿り着く。ここが滑降予定の斜面だ。
ここからは芳ヶ平ヒュッテ、その遙か先には天狗山ゲレンデ方面の建物が見える。あそこまで滑降できるのかと思うと半分ワクワク、疲れていたので半分ウンザリ。
カールの真ん中が沢状になっており、その向こう側、若干斜度のゆるい辺りに先行者のシュプールが付いている。私はシュプールのまったくない手前側の急斜面を滑ることにする。

[14] 13:25 2171m<br />
[14] 13:25 2171m
[15] 13:28 2145m<br />
[15] 13:28 2145m
[16] 13:30 2068m<br />
[16] 13:30 2068m
[17] 13:35 1949m<br />
[17] 13:35 1949m

13:25 滑降開始。午後から風が出始めて、表面が薄く凍りかけている。そのためパフパフのパウダーとはいかなかったが、それでも滑り応えのある最高の斜面である。なにより自分一人のシュプールを刻めるというのは気持ちいい。
P18の右中央くらいから中心に向けて滑り降り、沢を越える。左側の斜面は先行者のシュプールがあり、まっさらな雪の中をというわけにはいかなくなったが、まだしばらくは快適な斜面が続く。
といっても標高差300m程度、あっという間に滑りきり、後は傾斜のない芳ヶ平を、スケーティングを交えながらヒュッテまでちんたら進むのであった。

[18] 13:48 1845m<br />
[18] 13:48 1845m
[19] 14:35 1791m<br />
[19] 14:35 1791m

午前中とは違いヒュッテには10数名がおり、混雑気味。せっかくなのでコーヒーを頼み、犬と遊びながら優雅に過ごす。
14:30、最後の客となった私も出発。引き止めようとしているのか、さかんに吼えまくる犬がいじましい。
先行のパーティは沢の左側のよくわからんルートを行った様子。後でわかったが、こちらの方が滑りごたえのある斜面がある。ただしシールの必要な登り返しもあるはずだ。
それとは別に、白根山方向にちょっと戻り、そこから林間を降りていくコースをヒュッテのご主人に教えてもらった。が、シールをつけて登り返すのは面倒だし、目印をいろいろ教えてもらったのだが、実はよくわからなかった。ということで、結局正規の林道コースを滑ることに。林道といっても標高差は600m近くある。ある程度は楽しめるだろうと思い……。
最初はまだ良かった。レール上の電車のごとく先行者のトレースに沿って滑る、林道特有の滑りである。スピードがつきすぎたらレールからはずれて非圧雪の雪上でスピードを殺せば良い。初心者がテレマークターンを練習することはできないが、これでもバックカントリーの楽しさは味わうことはできるだろう。

[20] 14:46 1618m<br />
[20] 14:46 1618m
[21] 15:07 1322m<br />
[21] 15:07 1322m

が、しばらく行くとそんなことは言ってられなくなった。スピードを殺せるスペースもない、細く曲がりくねったコースがジェットコースターの如く続くのだ。これは楽しくないどころか、技術的にもたいへん難しい。私もスピードをコントロールすることができず、何回か転ばざるを得なかった。おまけにところどことちょっとした登りもある(ただしスケーティングで可)。初心者にここを行かせたら、バックカントリーがきらいになってしまうのではないか。
ラスト1/3、谷沢川に出てからは再び林道らしくなり、やっと一息(P21)。こうなれば後はあっという間だ。
除雪地点まで滑れば、右側はすぐ天狗山ゲレンデとなる。ゲレンデ下のパトロール詰め所に下山報告し、終了である。

周辺情報

草津温泉 大滝乃湯 ★★★★・
800円

(2004/2/8)
古い温泉街には日帰り専用の温泉施設がないところもあるのだが、さすが草津には立派な施設や共同浴場が多い。その中でも、まずはここらしい。
広い湯船や露天風呂もさることながら、「合わせ湯」の、薄暗い中に蒸気が立ちこめる雰囲気は格別。ただし合わせ湯は男女交代の時間制になっているため、時間によっては入れないこともある。
地方の日帰り温泉施設にしては値段は高めで、おまけに返金されない100円ロッカーを使用する必要がある。
が、なんといっても泉質が良いので高評価(本当はよくわからんが、たしかに良さげな気はした)。