※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
土曜の信越・会津エリアは朝まで雪の予報だが、午前中には天気が回復して青空が広がるらしい。どの山でも楽しめそうなのでダマに希望を聞いてみると、以外にも巻機山が良いという。この山には「井戸の壁」というダマの苦手な樹林帯の急斜面があり、ここで彼は肋骨を折ったこともある。ちょっと意外だったが、自分は歓迎だし、ピエールもどこでも良いという。ならば巻機山に行くことにしよう。
ただ、お気に入りの米子沢はすでに沢割れがあるらしい。いちおう板を外して高巻くことはできるようだが、先週の武尊山のことがあるので無理はさせたくない。まあ一般的な井戸尾根往復コースでも十分楽しめるだろう。
8:03 572m 西谷後バス亭。
まずは林道を適宜ショートカットし、二子沢川左岸の雪原をシールで進む。
この地域は昨日から朝にかけて雪の予報だったが、新雪はほとんどない。その点は見込み違い。とはいえ行程の長いこの山の場合、へんに新雪があるとかえって手間がかかるので、むしろ歓迎すべきかもしれない。
8:38 727m 米子沢の橋。
ここで橋を渡って右岸へ。橋の上も雪が残っており、シールのまま歩くことができる。
いつもはこのまま車道を歩いて桜坂駐車場を越え、登山道のずっと北側から井戸尾根に取り付いている。別に深い理由はなく、初めて登った時のルートを踏襲しているにすぎない。
今日の先行トレースは橋を渡ってすぐに登山道を離れ、東側に向かっているものが多い。いつものルートは必ずしも登りやすいとはいえないので、試しにこれについていってみよう。
結果、こちらの方が傾斜が均され、はるかに登りやすいことが判明。今後はこのルートを使うようにしよう。
9:04-9:08 井戸尾根930m。
井戸の壁に差し掛かり、傾斜が増したところでシートラーゲンに切り替える。
昨年は雪がカチカチだったにも関わらず意味なくシールで登り通したが、なんのメリットもなく苦労しただけだった。今年は効率重視。ツボ足トレースもしっかり残っているので、アイゼンなしで苦労せず登ることができる。
この井戸の壁はもともと木が濃いのだが、雪の少ない今シーズンは例年以上にヤブっぽく感じる。ここを滑るのはあまり気が進まない。やはり井戸尾根ではなく、米子沢を滑ることにしようか。
9:31 井戸尾根1120m。
この辺りで井戸の壁は終了。いつもはここで尾根の東端(五合目)に出て、ゆっくり休憩することにしている。ここは東側が切れ落ちているので、米子沢の様子が良く見えるのだ。
ただ、今日はツボ足トレースを利用させてもらった結果、尾根西側の沢筋を登ることになった。そのため米子沢は観察できず。どうせ細かいところまではわからないので構いはしないが。
9:39-9:43 井戸尾根1175m。
ここで再びシールに切り替え。とっくにシール登行可能な傾斜になっていたのだが、五合目で切り替えようと思ってそのまま気づかす通り過ぎてしまい、さらにツボ足でもさほど潜らなかったのでタイミングが遅れてしまった。
この辺りは美しいブナ林。それが一面の霧氷をまとってさらにいい感じになっている。あとは青空になればいうことなしだ。
10:23-10:28 井戸尾根1435m。
ここでやっと尾根の東端に。トレースについていった結果、夏道通りにちょっと遠回りしたことになる。まあ急斜面を避けた形で登りやすかったのでこれはこれでありだ。
ただ、こちらのルートは割引沢に面しており、途中で「展望台」の別称を持つ六合目を通る。晴れていればスキー対象でもある割引沢源頭をじっくり観察できたのに、ガスのため何も見えなかったのは残念だ。
それでもこの東端で2人を待っている間、ガスは一気に晴れ上がった。青空に一面の霧氷が映えてなんとも美しい。ここまで登るとだいぶ展望も利くようになり、さらに気分良く登ることができる。
ここからちょっと登ると森林限界。目の前に真っ白な雪原が広がり、その先にはニセ巻機山の重厚な姿が迫る。それにしてもこの直前でガスが晴れてくれて助かった。たまたまにしろ、遅めのスタートが功を奏したようだ。
10:54-11:07 井戸尾根1637m。
ここからニセ巻機山稜線までは急傾斜となるため、再びシートラーゲンに切り替える。井戸の壁と違って雪がまだ固いため、アイゼンも装着。
風が強くて雪の付きにくい斜面なので上部はだいぶヤブが目立つ。シートラーゲンなのでさほど邪魔にはならないが、ちょっと踏み抜くところがあったり、逆に雪が薄くてカチカチに凍っていたりと若干登りにくい。
それ以上に風の冷たさが身に応える。手先も凍え、手袋内で絶えず指を動かしていないと痛くなる。オーバーグローブをつけていないとはいえ、厳冬期でも登りならたいていインナーだけで対応できたのに……。
最近の暖かさに体が慣れてしまったのか、今シーズンで一番寒く感じたくらいだ。
11:43-11:54 1852m ニセ巻機山。
ここで再びシールに切り替え。雪が固いのでこのままアイゼンで歩くべきか迷ったが、コルまでの下りはスキーのほうが速いし、その後の登りもさほど傾斜はきつくない。シールだとスリップすることも多かろうが、トータルでは早く登れるだろう。
ダマは例によって靴擦れになったとのことで、ここで応急処置。それもあってか、山頂までこのままアイゼンで行くようだ。
小休止後、まずはシールでコルまで滑走。先行していたアイゼンのパーティーをあっという間に追い抜かす。
コルからの登り返しはやはりカチカチに凍りついているところがあり、そうした箇所はエッジを食い込ませて強引に登ることになる。それでも全般的にはうっすら新雪を被っているところも多く、すんなりとはいえずとも、思ったより苦労せず登ることができた。
12:26-13:01 1964m 巻機山。
ここまで登ると北から東にかけての展望が新たに開け、中越の越後三山や尾瀬の山々がきれいに見えるようになる。
それにしても気になるのは雪の少なさ。比較的雪の多かった中越の山々はともかく、燧ヶ岳や至仏山は3月中旬だというのにびっくりするほど黒々としている。残雪期には定番の山だが、今年は期待できないかもしれない。
山頂は風が強く、体の震えが止まらない。昼食は後回しにしてさっさと下ることにしよう。
――と思ったが、珍しくピエールがなかなかやって来ない。後で聞くと、我々を見失い、追い越してしまったかと思って途中で待っていたそうだ。そういえば自分はコルから山頂までトラバース気味に最短ルートで登ってきたが、登山道は稜線沿いで、山頂碑もなぜか途中の割引岳分岐(御機屋)に立っている。コル手前で追い越したパーティーもこの御機屋をゴールとしていたようだったし、なるほど勘違いしやすいかもしれない。
ところで滑降ルートだが、迷った末に米子沢を選択。ダマも事前にコース状況を調べていたようで、問題ないだろうと言っている。途中大きな沢割れがあって高巻きが必要になるようだが、ピンポイントのようだし、先週の武尊山よりひどいことはないだろう。
まずは稜線上をちょっと戻り、往路の尾根の手前にある支尾根を滑走。ここを滑れば無理なく米子沢の沢底に出られる。
この支尾根は雪がカチカチ。それでも広くて傾斜が緩めなので転倒を恐れず思いっきり滑れる。景観も素晴らしいので、こんな雪質でもとても楽しい。
途中、沢底に降りる手前で昼休憩。山頂と違って風が当たらないので、ゆっくり過ごすことができる。
ここから米子沢の沢底へ。沢底は多少ながら昨日の雪が積もっていて若干重め。油断すると湿雪に足を取られそうになる。それでもカリカリの硬雪に比べればだいぶマシで、十分に楽しめる。
それに何より渓相が素晴らしい。もちろん滝やゴルジュは埋まっているわけで、渓相といっても真っ白な斜面が続くだけだが、いろいろ細かな変化があり、飽きることなく滑ることができる。
谷川岳の芝倉沢のようにアルペンチックではないが、この米子沢のほうがはるかに快適だ。
標高が下がるとさすがにデブリが目立つようになる。特に1250m付近と1100m付近はデブリで沢底が埋めつくされていた。といっても板を外すほどのものではなく、1250m付近はデブリ上、1100m付近は左岸斜面を滑って難なく通過することができた。
1100mのデブリを抜けると、今度は何カ所か沢が口を開けてる。ここからが懸念していた沢割れ区間だ。
途中までは穴の脇を危なげなく滑ることができたが、問題は1050mの大滝の落ち口。ここはグライドクラックとなって全面的に雪が落ちている。早めに気づいていればスキーのまま左岸斜面を高巻けたかもしれないが、もう遅い。先行トレースに倣い、板を外して右岸斜面から巻くことにする。ちょっと手間はかかったが、この程度ならまぁ良いだろう。
そのすぐ先、右岸からナメ沢を合わせたところで深いV字谷は終了。一気に河畔が広がり、傾斜も緩くなる。
腐れ雪だとストック漕ぎが必要になりそうだが、今日はそれほどひどいストップスノーではない。それにトレースもあるので、適宜それに乗ってどんどん滑っていける。
左岸林道に合流してからはさらにトレースも増え、いよいよジェットコースター状態に。あっという間に駐車地点まで戻ることができた。
さて、ここまでは最高の山行だったが、苦しんだのは下山後。登山口の一帯はスギの植林地となっており、アレルギーが一気に表出したのだ。もはや鼻炎薬も効かず、へぎそばを食べてる最中もティッシュを手放せない状態になってしまった。
(2016/2/27)
評価の高い温泉なので巻機山の帰りに多少寄り道してでも行ってみたいと思っていたところ、今シーズン初めて知った阿寺山の近くだったので、これ幸いと寄ってみた。
有名なのは混浴の岩風呂・露天風呂で、その点ちょっと気を遣いそうだったが、岩風呂は男性用/女性用とで浴槽の半分が岩で仕切られており、入りやすいよう工夫されている。
この日は女性客がおらず、露天風呂のほうも気兼ねせずにゆっくり入浴することができた。
なにより泉質が良く、コストパフォーマンスも高い。旅館の立ち寄り湯の場合は外来入浴時間が短いところも多いが、ここは10:00~20:00までと下山が遅くなっても十分間に合う。なかなかいい温泉だ。
(2017/3/25)
一気に500円→700円に値上がりしていた。
温泉自体は良いが、お得感はなくなったので評価も5→4
(2018/3/17)
旧塩沢町のR17号沿いにある蕎麦屋。いつもたくさんの車が停まっているので前から気になっていたが、実際に評判が良いこともわかったので入ってみることにした。
夕食前の閑散時間帯ということもあって入った時点はガラガラ。しかし出る頃には広い店内も満席になっていた。やはり人気店のようだ。
通常のそば・うどんもあるが、一押しはへぎそばのよう。他にもメニューが豊富で、つまみの類いもいろいろある。複数人で利用するにはちょうど良い。
へぎそばは確かに美味かった。今の中野屋よりずっと好み。ただし舞茸天ぷらは中野屋のほうが上。