※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
久しぶりの山行はピエール・ダマ揃っての中ノ湯温泉泊まりの殿様ツアー。行き先はもちろん焼岳と、あと一つは昨年悪天で敗退した安房山。今年は土日とも天気は保ちそうだが、日曜は遅くならないうち帰宅したいので初日に行程の長い焼岳に登ることにする。
08:28 1511m 中ノ湯温泉旅館発。
昨年より時期は遅いが雪はむしろ多い。気温も低く雪も十分締まっているので旅館の裏手から板を担ぎ、九十九折りの峠道をショートカットして法面を直登。
車道を離れ、南東尾根に取り付いてからも急斜面が続くため板は担いだまま登る。雪は締まっているが、アイゼンなしでも問題ない。
10:07 南東尾根1972m地点。
昨年は、八甲田FPSという太板を履いたダマがシール登行ではなかなか登ってこれず、ここまで相当な時間がかかった。今年は最初から板を担いでいることもあり、それなりのペースで登れている。
10:19 2000m りんどう平。
正面に焼岳の全容が見渡せるようになる。右には穂高岳、後ろに霞沢岳と、相変わらず展望の良い素敵な平原である。
ここから先は南峰と北峰のコルに向かってひたすら雪渓を詰めるのみ。
今回は先行者のトレースに習い、沢底ではなく左の尾根をトラバース気味に登ることにする。今日のコンディションなら雪崩の可能性は少ないだろうが、沢底を歩かなくてすむならそれに越したことはない。
が、ちょっと失敗。よく考えたら、というか考えなくてもこのまま登っても南峰に着くだけ。我々は昨年のダマの雪辱があるので北峰を目指しているのだ。
結局、コルに向かって途中から左斜面をひたすらトラバースすることになる。私の場合トラバースを続けると踝の下に靴擦れができるので、そのまま沢底を歩き続ければ良かったと後悔する。
11:40 2390m コル到着。
稜線上は風が強く、非常に寒いのでちょっと下がったところで遅れていたピエールを待つ。
ピエールが来たところで北峰へ。まずは岩だらけの北峰の真下をトラバースし、北峰の東側に向かう。
昨年は雪が少なく、岩の隙間にできる落とし穴を何度も踏み抜きそうになったが、今年は雪が多く、かつ締まっているので割とすんなり歩くことができた。逆に稜線上に上がる再度の急斜面は、シールが利かずに苦労したが。
11:58 北峰東側の稜線。
ここまで来ると上高地や穂高が一望できるようになる。しばし眺めを堪能し、板をデポして北峰へ。
昨年は噴煙上がる正面の岩場を直登した結果、火山ガスに苦しめられ、さらに大岩も落としてしまった。なので今年はちょっと東に回ってから登ろうとする。が、岩場にとりつく手前で雪を膝まで踏み抜く。板を履いていないのでそれ自体は普通のことなのだが、ふと下を見ると、火山ガスでできたのか、踏み抜いた足の下に何メートルもの深さの巨大な空洞が広がっているではないか。こんなところに落ちたら一巻の終わりだ。次の足を踏み出すのも怖く、体を投げ出して地面のあるはずの場所に退避する。
で、結局昨年と同じ場所から登ることにする。昨年はなんの苦労もなかったが、今年はラストの雪壁の傾斜が強く、ステップを十分に切りながら慎重に登る。ピエールは少し左から登った結果、最後の雪壁がさらにきつかったようで乗り越えるのに苦労している。まあヤツのことは心配ない。
ダマはというと、当初は登る気満々だったのだが、私が雪を踏み抜いたのを見て今年も登るのを止めてしまった。
12:19 北峰山頂。しばし展望を楽しみ、ダマの待つ稜線上に慎重に戻る。
13:00 コルの方へちょっとだけ戻り、そこから滑降開始。
フィルムクラストで異様に板が滑る。斜度が緩ければ最高に面白い雪質なのだが、この傾斜だとスピードが出過ぎて上手くコントロールできない。まあ広い斜面で大回りターンができるので問題ないのではあるが。
無木立大バーン好きのダマはひとりさっさと滑っていく。対して樹林帯に強いピエールはこのような高速バーンでのターンの感覚を忘れてしまったようで、思うようにテレマークターンを決められない。よっぽど悔しかったのか、この後、ゲレンデで練習せねばと盛んに言い出すようになる。
13:20 2000m りんどう平。
ここからはしばらく緩斜面。昨年のような黄砂混じりの湿雪ほどではないが、それでも雪は重く滑りにくい。
下るにつれ木が濃くなり、やがて樹林帯の滑降へ。こうなるとピエールは強い。けして滑りやすい雪質ではないのだが、それほど転ばずに無難に滑っていく。対して樹林帯の大嫌いなダマはダメダメモードに。得意不得意がこれほど逆転するのも面白い。
14:23 1490m 梓川河原に続く平原に到着。本格滑降はここまで。
当初は観光を兼ね大正池まで戻ってそこの橋を渡ることも考えていたのだが、ここにきて小雨がパラついてきた。空も暗く、ノンビリしたい雰囲気ではなくなったので、まっすぐ釜トンネル方向へ下ることにする。
梓川右岸をしばし滑り、渡渉ポイントを探す。昨年は適当な場所が見つからず旧釜トンネルの方まで下ったものだが、今年は雪が多く、いろいろ渡れるポイントはありそうだ。対岸の道路は河原より高い位置にあるので、道路まで登りやすそうなところを探して渡渉。
昨年は石づたいに渡るのを諦め男らしく川の中をジャブジャブ渡ってきたダマも、今年は無事濡れずに渡渉成功。
14:45 1480m 車道。
想定外なことに完全に除雪されており、かつ土埃でなんだか汚い。まあ釜トンネルまであと少し。このまま板を背負って歩きましょう。
14:53 釜トンネル入口。
ヘッドランプを点けて真っ暗な道を20分ほど歩く。時々工事かなにかの車両が走るのが嫌だ。
15:15 釜トンネル出口。
あとは中の湯温泉に電話して迎えに来てもらうのみ。楽なもんです。