※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
今週末の北アルプスはそこそこ天気が良く、雪も落ち着いていて雪崩の危険は少ないらしい。それならばと、土日使って白馬に行くことにする。日曜のほうが風がなく登山日和らしいので、以前から課題だった唐松岳を日曜に、土曜はその手前の小日向山に登ることにしよう。
まずは小日向山。白馬エリアの中では地味な存在だが、ガイドブックなどに取り上げられることも多く、以前から気になっていた山だ。
ここは厳冬期のパウダーが魅力の一つのようだが、このところ好天続きのため今回それは望めない。ただ、初めての山だし、ラッセル覚悟でパウダーを狙うより、まずは確実に山頂まで登っておきたい。なので雪の落ち着いた今週末はむしろちょうど良かったりする(というかこういうコンディションを狙っていた)。
滑降ルートとしては大きく北斜面と東斜面が対象になるが、今回選んだのは東斜面。どちらも最後に県道白馬岳線に合流するが、未除雪とはいえ傾斜は緩いので、道路上をスムーズに滑って戻れるかどうかわからない。北斜面のほうが滑り応えがあるようだが、車道を戻る距離も長くなるため、まずは比較的戻る距離の短い東斜面で様子見だ。
登りは南斜面から。こちらは明日滑る予定のガラガラ沢の下山ルートにもなっているので、下見に丁度いい。
朝7時前、登山口の二股に到着するが、予想に反し車は全然停まっていない。ガラガラ沢など八方の各沢の下山口になるため車をデポする人も多いはずだが、そういう人たちは八方のゴンドラリフトで入山するため、営業時間に合わせてスタートはもっと遅いのだろう。
二股の駐車場は一部除雪されていて数台ほど駐車可能。本来除雪車のUターンスペースに当てられているようだが、みんなその分のスペースを残してここに停めているようだ。
07:19 837m 二股発。土曜はガスがかかりやすいとのことだったが、雲はちょうど八方尾根でせき止められ、唐松岳から白馬側は雲ひとつない快晴だ。これはうれしい誤算。
まずは南股入沿いの林道を歩く。雪道ではあるが、ガラガラ沢などメジャールートの下山道となるため硬く圧雪されており、雪もまだカチカチに凍っている。まったく潜らないので板を背負って普通に歩くことができる。
07:47 928m ソデガラ沢出合。
予定ではまだしばらく林道を歩くつもりだったが、雪がまだ硬いのでツボ足でどんどん登って行けそう。ここでアイゼンを履き沢の西側の尾根を登ることにする。
が、甘かった。表面こそ凍っているものの、中は柔らかくツボ足では潜ってしまう。
途中で諦めシール登行に切り替えるが、もともとシールでは登りにくい細い尾根。段差が激しくて登れないところもあり、ところどころ尾根を捨てて西側の斜面をジグザグに登る。
振り返るとすぐ下に林道。苦労した割にいくらも登れていない。予定通りもっと林道を歩いてから尾根に取り付くべきだった。
1150mでやっと尾根は広くなだらかになり、普通にシールで登っていけるようになる。
9:23 1288点。いったん緩斜面となり、正面に鑓ヶ岳、杓子岳が望めるようになる。
この先は素晴らしいブナの疎林帯。この南斜面は雪質の関係かあまり滑られることはないようだが、斜面自体は非常に魅力的。本日は東斜面を滑るのだが、なんだかこちらの斜面のほうが結果的によっぽど楽しめたような気さえする。
10:29 1597点。見晴らしの良い平原で、スキー場上部から唐松岳まで、八方尾根が一望できるようになる。ガラガラ沢や唐松沢など北面の沢の様子もよくわかる。ガラガラ沢はもはやシュプールだらけだ。
1660mで再び緩斜面となり、ここで初めて左前方に小日向山が姿を現す。あと少しではないかと思っていたが、まだまだ遠くてガッカリ。まぁちょっと歩くと実際はそれほど遠くないことに気づくのだが。
ちなみに本日予定している下りルートはここから東尾根を滑ることになる。
1700mを超えると尾根は西にカーブし、ここから小日向山まで最後の登り。
北側には白馬岳から乗鞍岳の稜線がきれいに見え、人気の山スキーコース、金山沢も一望できるようになる。
細い尾根を越えると広い緩やかな斜面となり、お椀型の山頂(実際はその手前)が間近に見えるようになる。
あとわずかだが、ここで一気に疲れが出て足が止まる。緩やかな斜面なのに、最後は休み休みだ。
11:54 1905m 小日向山山頂。すぐ目の前に白馬三山があるのだが、ちょっと前からガスが湧いてきて、鑓ヶ岳・杓子岳はうっすらとしか見えなくなっている。
多少残念ではあるが、元々ガスがかかるという予報だったし、下手すればこの小日向山も真っ白だったかもしれない。これくらいですんで何よりというべきだろう。
12:28 滑降開始。しばらくは登りルート沿いに滑る。
山頂直下からいきなり腐れ雪。山頂で温度計を見たら10度近くあったのでなんだこりゃと思ったのだが、これはひどい。3ピンテレマークのステップソール細板では気楽に滑れず、腰を落として真面目に(?)取り組む必要がある。
12:44 1660m ここで登りルートを外れて東尾根へ入り、さらに途中で北東のボール状の斜面に滑り込む。
急傾斜のブナの疎林帯だが、ちょっと若木がうるさく、斜面自体は登ってきた南斜面のほうが魅力的に感じる。
相変わらず雪は重く、かなり中までズブズブ。木のない急斜面をやむなく横切った時など、表層から30cmくらいが一気に崩れ落ちていった。あとで雪崩情報を確認したら標高の低い樹林帯のほうが雪崩の危険度が高くなっていたが、さもありなんだ。
しばらく滑ると傾斜は緩くなり、奥ノ滝ノ沢の上部に入り込む。残雪期のザラメ雪なら快適な林間滑降が楽しめるのだろうが、今日の腐れ雪ではほとんど板が滑らず、ストック漕ぎを交えて進む。
1263点で北側の尾根を越え、今度は北側の斜面を滑降。ここから再び傾斜が増し、慣れてきたのかそこそこ楽しく滑れるようになる。
やがて林道に合流。そのまま猿倉からの県道白馬岳線まで林道上を滑る。ここも板はあまり滑らず、ほとんどストック漕ぎだ。
13:49 1057m 県道白馬岳線に合流。もちろんまだ未除雪で、道路上は多数のトレースが付いている。
それに乗って二股まで一直線、といきたいところだが、今日の雪ではトレースがあってもあまり滑らない。ほとんど歩くようにこの長い林道を進む。
結局40分ほど、飽き飽きしたところでようやく二股の駐車スペースまで戻ることができた。
(2015/03/07)
いつも行っていた「ガーデンの湯」は閉店したらしく、代わりにこちらに。
八方尾根スキー場そばの温泉よりは多少すいているかと思ったが、スキーシーズン真っ只中の土曜夕方とあってさすがに大混雑。浮かれた若い団体さんたちに囲まれまったく落ち着けない。
浴槽は大きいが、半露天のものが一つあるだけ。ビニールカーテンで寒気を塞げるようになっているが、この日はもう夕方なのに全開で、やたら寒かった。
とはいえ泉質自体は良さそうなので、すいていればまぁ悪くはないのだろう。
(2015/03/07)
白馬のめぼしい飯屋がどこも大混雑だったため、車中泊の予定地だった道の駅小谷で夕食。
日替わりのかまど飯定食がお勧めらしいが、この日のおかずはイマイチだったので無難にカツ丼を頼む。野豚というのが売りらしいが、まあ悪くないといった程度。
取り立てて素晴らしいメニューがあるわけではないが、道の駅に併設されている食事処にしてはゆったり落ち着いて食事できるし、下手な蕎麦屋なんかよりはよっぽどいいかもしれない。