2015/05/09 南八甲田(櫛ヶ峯)

目的地
南八甲田山
地域
東北北部
日時
2015/05/09
コース
睡蓮沼~駒ヶ峯~櫛ヶ峯~睡蓮沼
メンバー
ダマ
装備
MADSHUS:EPOCH('13)/22 Designs:TeleBulldog, Scarpa:T2('13)
天気
高曇り

コースデータ

コースタイム
睡蓮沼[9:15]↑[11:05]駒ヶ峯↑[13:03]櫛ヶ峯[13:26]↓[15:16]睡蓮沼
山行時間
06:00
実移動時間
05:31
最高高度
1515m
最低高度
991m
累積標高差(登り)
963m
累積標高差(下り)
964m
移動距離
14.08km
平均速度※1
2.55km/h

※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度

グラフ

記事

東北ツアーの最後は南八甲田山。
当初は猿倉温泉起点で乗鞍岳~猿倉岳の周遊コースを狙っていたのだが、雪が少ないので下部はヤブ漕ぎや沢越えが必要になるかもしれない。そう思い、まだまだ雪のある睡蓮沼から櫛ヶ峯に登ることにする。
このコースは全般的になだらかでノルディック向きというイメージがあるが、ダマはともかく自分はそもそもノルディック板だし、南八甲田山系の最高峰ながらいまだ登ったことがないので、この機会にちょうど良いかもしれない。

朝は青森駅前の古川市場で「のっけ丼」。それから移動しても十分間に合うのが八甲田山のいいところだ。
起点となる睡蓮沼付近に駐車場はないが、左右の路肩にそれぞれ数台分の駐車スペースがある。以前GW真っ只中に来た時はこの駐車スペースから車が溢れ、片車線を完全にふさいでいて非常に迷惑だったが、この日はGW明けとあって十分余裕がある。

09:16 992m<br />睡蓮沼向かいからスタート
09:16 992m
睡蓮沼向かいからスタート
09:27 1013m<br />しばらく緩斜面
09:27 1013m
しばらく緩斜面
09:35 1039m<br />辺り一帯は湿原
09:35 1039m
辺り一帯は湿原
10:03 1190m<br />背後は常に北八甲田
10:03 1190m
背後は常に北八甲田

9:15 992m 出発。
例年であれば道路脇には雪の壁ができているのだが、今年はまったくなく、逆に雪原まで1メートルほど降りなければならない。
それでもスキーをするには十分なくらい雪は残っており、出だしからシールで登っていける。

しばらくは猿倉沢左岸の緩斜面。この辺りは無雪期には湿地帯になるようで、ところどころ水芭蕉の咲く湿原が顔を覗かせている。
ときおりツアーコースの標識も見かけるが、それほど目立つわけではないし、雪が少ないのでその通りに歩けるとも限らない。なので標識はあまり気にせず、適当に歩きやすいところを登る。

1100mで無木立のちょっとした急斜面が現れる。南八甲田らしくないとも思ったが、標高差はせいぜい50m程度。すぐにまたオオシラビソの緩やかな斜面となる。やはり全体的になだらかなコースなのだ。
ここを登り切るとほどなく石塚ポール。オオシラビソの上部に赤テープが巻かれたものだが、なかなか目立ち、実際冬期には重要な目印になるようだ。まぁそんなのも後で知ったことで、この時はなんかあるなと思っただけだが。

10:43 1362m<br />駒ヶ峯
10:43 1362m
駒ヶ峯
11:02 1405m<br />駒ヶ峯直下
11:02 1405m
駒ヶ峯直下

10:37 1362m 猿倉岳~駒ヶ峯稜線。
稜線といっても緩やかなもので、特にこの辺りは平原のような感じ。
すぐ先には最初の目的地である駒ヶ峯のピラミダルなピークが見える。
北斜面はびっしりオオシラビソで覆われているが、東南斜面はまだ真っ白。こちらからなら木に邪魔されることなく普通に登っていける。
ただ、最近ヤマレコにアップされた記録によると、駒ヶ峯~櫛ヶ峯の稜線上のツアールートはすでに雪がなく、いったん下って南側から巻いていくことになるらしい。その一方、だいぶ下ることになるので北斜面から巻いたほうがいいかも、とも書かれていた。
いずれにしろ駒ヶ峯まで登ってもいいことはなさそうだが、初めてのコースだし、とりあえずは上まで登って様子を見てみることにする。

11:03 1407m<br />尾根向こうに猿倉岳
11:03 1407m
尾根向こうに猿倉岳
11:04 1410m<br />尾根上は雪切れで進めず
11:04 1410m
尾根上は雪切れで進めず

11:04 1410m 駒ヶ峯。
さて、登ったは良いが、櫛ヶ峯への稜線ルートは確かに雪がなく、下生えも密生しているので板を持って歩くのも難しそう。北斜面は木が濃すぎてここからだと降りることもできないし、仕方ない、ヤマレコの記録のように木の少ない南斜面から巻くことにしよう。
始めから南斜面をトラバースしていれば、というのは登ってみて初めて言えることだ。

ということでシールのまま無木立の南斜面をしばし滑降。適当なところで西へ向かう。
しかし、南斜面のほうも木々が密生している箇所があり、なかなか突破できる場所が見つからない。ヤマレコの記録より相当雪解けが進んでいるようだ。
結局標高差60mほど下ったところで南斜面からの突破は諦め、駒ヶ峯の東側をグルッと回って北斜面から巻くことにする。
その際、無理に急斜面をトラバースしようとし、15mほど滑落するというおまけ付き。半ば落ちるのを覚悟でトライしたのではあるが、すぐに止められなかったのは大いに反省。場所によっては致命的だ。

11:44 1326m<br />北斜面から回り込む
11:44 1326m
北斜面から回り込む
12:13 1352m<br />櫛ヶ峯が姿を現す
12:13 1352m
櫛ヶ峯が姿を現す

北斜面のほうも簡単には巻くことはできず、シールで歩けるところを探して右往左往する。
途中数メートルだけ板を外してヤブ漕ぎしたりと、できるだけ高度を落とさずトラバースしようとするが、結局は標高1310mの湿原まで降りてやっと普通にシール登行できるようになる。
この頃には完全に嫌気が指しており、楽しさもまったく感じられずにただただ惰性で歩いているだけ。自分1人だったら引き返していたかもしれない。

12:13 1352m 駒ヶ峯~櫛ヶ峯稜線。
駒ヶ峯から西に1kmほどの場所で、普通に稜線上のツアーコースを下れていれば10分もかからなかったはず。雪不足のせいとはいえ、1時間も無駄に費やしてしまった。
ちなみに下山時に2人組のパーティーとすれ違ったのだが、彼らはツアーコース通り稜線上を歩いてきたとのこと。やはりだいぶ苦労したらしく、我々同様北斜面を巻いてくればと後悔していた。

ここから再び木の少ない稜線南側へ。ちょっと南に入ったところで櫛ヶ峯が目の前に現れる。
標高差はまだそれなりにありそうに見え少々うんざりするが、真下まで行ってみると実際にはそれほどでもない。こちら側の斜面は真っ白ですんなり登っていけそうだし、多少やる気が戻ってくる。
この北東斜面はそこそこ急傾斜。ジグザグでならシールでも登れるが、より傾斜を殺せる北尾根から回り込む。

12:53 1444m<br />櫛ヶ峯への登り
12:53 1444m
櫛ヶ峯への登り
13:04 1512m<br />十和田湖
13:04 1512m
十和田湖
13:05 1514m<br />櫛ヶ峯山頂より北八甲田
13:05 1514m
櫛ヶ峯山頂より北八甲田
13:08 1515m<br />青森湾
13:08 1515m
青森湾

13:03 1515m 櫛ヶ峯。
山頂のすぐ脇まで雪は続いているが、最高点の辺りはハイマツに覆われている。普段なら三角点まで登らずともまったく気にならないのだが、今日に限っては達成感がまるで湧かず、ここまでルート取りに苦労したこともあり「なんてつまらん山だ」と愚痴をこぼしてしまう。
が、もう少し進むと南側にハイマツを切り開いた登山道があり、そこからちゃんと山頂まで登れるのであった。現金なもので、それだけで達成感が湧いて多少うれしくなる。
眺望はそれなりによく、北八甲田と違って十和田湖が間近に大きく見えるし、陸奥湾なんかも全体がきれいに見える。なんだかんだで登って良かった。
その一方で、誰もいない山頂はなんだかもの悲しい感じだし、天気も高曇りのためか、気分がすっきり晴れるまではいかない。

13:28 1422m<br />櫛ヶ峯北東斜面の滑降
13:28 1422m
櫛ヶ峯北東斜面の滑降
13:29 1422m<br />稜線の北側へ
13:29 1422m
稜線の北側へ
13:31 1348m<br />戸来岳をバックに
13:31 1348m
戸来岳をバックに
13:42 1286m<br />駒ヶ峯北斜面を巻く
13:42 1286m
駒ヶ峯北斜面を巻く

13:26 滑降開始。
全般的になだらかなイメージのある南八甲田だが、乗鞍岳など各ピークの直下は無木立の大斜面が広がっており、特にこの櫛ヶ峯東斜面は北八甲田からも目立っていた。
もちろん実際滑ってみても非常に面白く、見た目通り豪快な滑降を楽しむことができる。
滑り出しの時点ではまだ多少陰鬱な気分を引きずっていたのだが、ここにきてやっと気分も乗ってくる。
とはいえ標高差はたかだか200m程度。このように滑りやすい雪質だとあっという間だ。

傾斜が緩くなってからのオオシラビソの林間滑降もなかなか楽しく、櫛ヶ峯~駒ヶ峯稜線の北側に出る辺りまでは快適に滑り続ける。

13:51 1292m<br />湿地帯まで標高を落とす
13:51 1292m
湿地帯まで標高を落とす
14:29 1304m<br />板を外して登り返し
14:29 1304m
板を外して登り返し

さて、問題はこの後。
比較的一般的なルートは、いったん稜線上を駒ヶ峯まで登り返し、そこから睡蓮沼に向かって滑降するというもの。しかし今日は雪がないため稜線上のこのルートを辿るのは無理だ。
となると、往路で実際に辿ったように駒ヶ峯稜線の北側を巻いていくしかない。
別にこのルートは悪いものではなく、途中までトラバースやストック漕ぎを多用することになるが、登り返しなしで睡蓮沼まで滑走できるというメリットがある。
しかし、雪解けが進んだこの日はすんなりとはいかない。
尾根近いところは雪が切れていてヤブ漕ぎになるし、下りすぎると後で登り返しになる。自分はステップソール板なので多少のアップダウンがあっても問題ないが、ダマは普通の板なので、できるだけ登りのないルートを選ぶ必要がある。

そのため、途中で1295点を北から大きく回り込んでみたりしたが、結果的には無駄に大回りしただけ。結局は駒ヶ峯北東の滑降ポイントまで標高差70mほど登り返すことになった。
緩やかな斜面を長い距離をかけて登るのでステップソールの自分はそのまま登っていけるが、ダマは途中で板を持って歩くことになる。

14:52 1297m<br />駒ヶ峯の滑降ルートに合流
14:52 1297m
駒ヶ峯の滑降ルートに合流
14:54 1294m<br />快適なオオシラビソの斜面
14:54 1294m
快適なオオシラビソの斜面

14:43 1330m 駒ヶ峯北東、もともと予定していた下山ルートに合流。ここからやっと普通に滑走できる。
オオシラビソの疎林帯で、傾斜は緩いがどんどん滑っていけてとても楽しい。
お気に入りの猿倉岳北斜面ほど広大ではないが、似たような感じの斜面で(すぐ隣なので当たり前ではあるが)、櫛ヶ峯直下の無木立大斜面とはまた違った面白さがある。
雪が少ないため疎林帯と呼ぶにはオオシラビソが出まくっているが、滑るのに邪魔になるほどではないし、なにより新緑のブナ林と違って粘着質の芽鱗が散らばっていないため、傾斜は緩くとも板がよく走るところが良い。

14:57 1239m<br />楽しい斜面は続く
14:57 1239m
楽しい斜面は続く
15:00 1193m<br />ここを下ればゴールは間近
15:00 1193m
ここを下ればゴールは間近

1230mで東側の尾根を越え、登ってきたルートに合流。この先は往路通りの小沢沿いのコース。
雪は荒れ気味でこれまでのオオシラビソの緩斜面のように優雅に滑れはしないが、傾斜はそこそこあり、木も少ないのでどんどん滑っていける。

ほどなく睡蓮沼。今日は雪不足とあってか他に山スキーヤーを1組しか見かけなかったが、代わりに(というわけではないが)大きな画板を持って雪原で写生をしている人をチラホラ見かける。あまり他の山ではお目にかかれない光景だ。

ともあれ登っている最中はあれほど嫌気が指したこのコースだが、こうして下山してみるとなんだかんだで楽しい山行になった。
ただ、スタートが遅かったせいで八甲田山麓のどの温泉にも入れなかったのは少々心残り。まあ今回は温泉よりのっけ丼を選んだということでやむなしか。

周辺情報

青森魚菜センター(古川市場) ★★★★★
のっけ丼 食事券1080円

(2015/05/09)
のっけ丼で知られる鮮魚中心の市場で、是非とも行きたかった店の一つ。ただ、営業時間は7時~16時で、下山後では間に合わないかもしれない。
なので入山時間は遅くなるが、確実に食べられるよう、朝7時の営業と同時に朝食として食べることにする。

有名な釧路の勝手丼の二番煎じではあるが、内容は勝るとも劣らない。釧路の和商市場ほど大きくないが、むしろこのくらいの規模のほうがちょうど良く感じられるし、けっして品数が少ないわけではない。
食事券は1080円の10枚綴りと540円の5枚綴りの2種類で、それに合わせて総菜を選ぶ必要があるが、いちいち小銭で現金購入する手間が省けるし、ある程度上限が決まっていたほうがよいともいえる。そうでないと、一昨日の八戸魚菜市場や八食センターのように、次から次へと欲に任せて食べきれないほどの総菜を追加購入することになりかねない(ダマは「ある意味食べ放題ですよね」と言っていた)。
基本は海鮮だが、前沢牛やおでんなんて具材もある。
今回は基本通り魚介を中心に、朝なので卵焼きを選んでみた。
選んだものすべてが美味しい。また行きたい。


板留温泉 岩魚の宿 丹羽旅館 ★★★・・
外来入浴 500円

(2015/05/09)
下山が遅くなったため、昨日同様に八甲田山麓の温泉には入れずじまい。
今日はこのまま黒石I.C.から帰るため、黒石温泉郷近辺の日帰り温泉で検索して引っかかったのがここだ。

黒石温泉郷は20年以上前に温湯共同浴場に入ったことがあり、記憶は微かながら趣があってそれなりに賑わっているイメージがあった。
が、実は黒石温泉郷は5つの温泉街の総称らしく、この板留温泉はだいぶそのイメージと違っていた。
ピークには多少早めの時間とはいえ、土曜の夕方なのに温泉街自体がらーんとしている。
この宿も客がいる様子はなく、当然貸し切り状態。のんびり入れて良いのだが、これでやっていけるのだろうかと多少心配にはなる。
露天風呂があり、旅館なので当然シャンプーなどアメニティーもしっかりしているが、特に印象には残らない。
体を洗うことが第1目的なのでいつもはそれで全然構わないのだが、せっかく青森まで来たのだから、たとえシャンプーなどがなくても温湯共同浴場のような雰囲気のある温泉に入っておきたかった。