※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
山スキー適期のこの大事な時、大阪へ長期出張になってしまった。昼夜なくひたすら働いて3週間振りに休みをもらうが、出張先でゆっくり体を休めたり観光している暇などない。さっそく東京に戻り、ピエール、ダマを誘って久しぶりに山スキーに出掛けることにする。
場所は、月曜朝一で戻らなければいけないのでどこか簡単に往復できるところがいい。ということで、昨年初めて行って気に入った日白山に行くことにする。
昨年同様、蔵王堂川右岸に延びる林道を走り、最終除雪地点の少し手前にある路側帯に車を停める。
08:08 877m 出発。除雪されているとはいえ雪はそれなりについているので初めからシールで歩ける。
1分程で最終除雪地点。本日このルートを歩くのは我々が最初のようだが、昨日までのトレースが十分ついているのでラッセルなしで楽に歩ける。
08:33 1015m ここで林道は二手に分かれる。昨年はまっすぐ行ったのかな? 今年は右に進んでみよう。まあ蔵王堂川をどこで渡るかという違いだけなので、どちらに進んでも大差はなかろう。といいつつも、実際に歩いてみるとこちらのルートの方が川に向かっての下りが若干大きい様子。帰りは昨年同様、もう少し上流で徒渉した方が良さそうだ。
左岸に渡ったら林道を離れ、杉の植林帯の間を縫うように登る。
1270mの平原に出る手前は、距離こそ短いが急斜面になっており、ジグザグに登る必要がある。
09:18 1270m ここで一旦見晴らしの良い平原となり、日白山が姿を表す。
さて、ここから稜線上に上がるまでがこのコースの核心。
ここから望む分にはどこを登っても問題なさそうに見えるのだが、昨年登った枝尾根はそれなりに傾斜があり、さらには風で表層の雪が飛ばされカリカリになっていて、シールが効かずに登るのに苦労した。今年は多少遠回りになっても、登りやすそうなところから取り付くことにしましょう。
ひとまずトレース通り。しかしちょっと登ると辺りはデブリだらけとなる。
デブリといっても雪崩によるものではなく、シュプールにより表面が崩れ落ち、雪だるま式に塊になったもの。春の降雪後によくあるパターンだ。なので即危険ということはないのだが、せっかくのトレースが完全に埋め尽くされている。しょうがないとデブリを避けラッセルを始めるが、やがて多少デコボコしていてもデブリ上の方が雪が締まって歩きやすいことに気づき、わざわざデブリの上を選んで歩く。
登るにつれ傾斜はきつくなり、クラストバーンと、新雪が吹き溜まった斜面が入り混じるようになる。クラストバーンの方はシールが効かず、板を横から叩きつけ、雪面にエッジを食い込ませながら登る。新雪地帯はシールこそ効くものの、なにしろ下はツルツルの層。表層雪崩が起きそうで油断はできない。できるだけ木の濃いところを選んで歩く。
10:10 1500m 日白山南尾根稜線。
一面の大パノラマが広がるが、谷川連峰の最上部にガスがかかっているせいか、昨年のような圧倒的な感動はない。
反対側の苗場山、神楽ヶ峰も山頂付近は雲の中。
しかしまあ逆に、標高のさほど高くないこの山だけがガスもなく晴れ渡っているわけで、たまたまではあるがこの山を選んで正解とだったということだろう。
10:24 しばし休憩後、山頂に向け出発。あとはこの眺めの良い稜線上をノンビリ歩くだけだ。
途中、ダマの携帯に何度か着信があったようで、ダマが立ち止まって電話を始める。なんでも昨晩高速のSAで寝ていたところ車をぶつけられたらしい。20分ほど保険屋や自動車屋といろいろ交渉。こういう場所でそういう話をするのも、まあ乙なものですな。
11:09 1631m 日白山山頂。
もちろん他に人はいない。
谷川連峰に加え魚沼の平野部、そしてその先の越後三山、浅草・守門まで見渡せるようになり、なかなかの風景。風もなく暖かいのでしばらくのんびり過ごす。
11:43 滑降開始。
新雪の量は昨年の方がよっぽど多いのだが、今年は明らかな弱層があり、面雪崩が発生する可能性がある。実際、山頂直下の急斜面をピエールが横切ったところ、小規模ながら面雪崩が発生する。しばらく左にトラバースし、木の多いところを選んで滑ることにしましょう。
雪は半ば腐れかけているものの、驚くほどコントロールが利く。このような重めの深雪でこれほど自在にターンできるのは初めてだ。板のおかげもあるのだろう。
雪もまったく荒れていないので滑っていて気持ちいい。ピエールも絶好調で、1ピッチ滑るごとに「楽しいなぁ」と繰り返す。まったくの同感。
ダマは――残念腰引けモード。この程度の斜面なら十分滑れる技術を持っているのだが、樹林帯になると突然腰が引けてロクに滑れなくなるのだ。この体勢では逆にスピードをコントロールできなくなり、ますます恐怖感が増すという悪循環。心理的なものなので、何かきっかけがあれば見違えるように変わるのだろうが……
昨年は沢の本流の右側を滑った結果、急な枝尾根やガリーに嵌まったので、今年は左斜面を滑ることにする。
――うん、こちらが正解。右斜面同様に小沢や枝尾根はあるものの、こちら側のほうが遥かに滑りやすい。
12:15 1230m 蔵王堂川本流の河床へ。
狭くはないが、沢の中だけにこれまで以上に雪は柔らかい。傾斜も緩いので、普通ならブレーキがかかって滑りにくくなるはずのところだが、さすがにセミファット・ロッカースキーのお陰か、それなりに無難に滑ることができる。
堰堤が出てきたら右岸に渡り、そのまま林道へ。あとは駐車地点でトレース上を一直線に滑って終了である。