※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
今冬の記録的大雪により冬の富士山は相当な積雪量だったが、残雪もまた多い。南側の富士宮口ですら、もう6月になろうかというのに5合目駐車場まで雪渓が見られる。さすがに駐車場まで繋げて滑れはしまいが、少なくとも6合目までは十分滑れるようだ。
今週は天気も良すぎるくらいで、連日30℃を超えている。こうなると雷が心配になるが、このような希なシーズンを逃す手はない。これは行くしかないでしょう。
朝6時過ぎ、富士宮口5合目駐車場に到着。すでに多くの車が止まっているが、奥の宝永山側はまだ十分余裕があり、駐車場の上段に止められる。
土産物屋側のメイン(?)の登山口は雪の壁が立ちふさがり、入り口もバリケードでガードされている。事前の情報で宝永山側の登山道から登るよう書かれていたので、迷わずそちらに向かう。
6:45 2369m 宝永入口出発。
初っぱなから雪道だが、さすがに上まで雪は繋がっていない。しばらく砂礫と雪の交じるブルドーザー道を歩く。
7:02 2495m 新六号目。
この上からまとまった雪渓が現れるが、まだ途中で雪は途切れる様子。しかしそれもわずかの距離。下りはここまで滑ってこれそうだ。
7:16 2600m
ここから雪が完全に繋がる。雪は柔らかくアイゼンの必要はないが、もうここでつけてしまおう。しっかりした階段状のトレースがついており、非常に登りやすい。
8:19 3015m 7号目。
15年程前、5月初旬に来たときはこの辺りまで雪がなく、下りはジャリジャリの登山道を延々とテレマークブーツで下ることになった。それ以来富士宮口がイヤになり、北側の吉田口を滑るようにしていたのだが、今日くらい雪があれば富士宮口も悪くない。
8合目付近で雪渓は途切れそうになるが、別の雪渓に細々と繋がっており、多少迂回しつつも雪上を歩き続けられる。登りは板を担いでいるのでどうでもよいが、下りは板を外さす滑り続けられるわけだ。
9:35 3406m 9号目。
ここまでは順調。雪は十分柔らかく、階段状のトレースがずっと繋がっているので圧倒的に楽だ。
風もほとんどなく、いつものように突風による耐風姿勢をとる必要がない。それどころか長袖ながらTシャツ1枚で寒くないくらいだ。
10:02 3542m 9号5尺。
さすがに疲れてきた。
休憩していると、周りの連中が空を見上げてなにやら驚嘆している。どうやら入道雲にビックリしているようだ。こうも気温が高ければそりゃ発生するだろう珍しくもない、と思いつつも空を見ると、思わず自分も「おわぁすげーなー」と声を上げてしまう。
目の前に巨大な入道雲ができているのだ。そして高層圏には別の雲が猛スピードで流れており、そのせいで入道雲のほうが巨大空母のように天空を突き進んでいるように見える。ここまで間近にでかい入道雲があると、さすがに驚く。
それはともかく、午後には雷がくるかもしれない。ちょっと心配になる。
10:49 3711m 富士宮口山頂(浅間大社奥宮前)。
やっとお鉢の一角まで登ってきたが、頻繁にガスが湧くようになり、ほとんど晴れ間が見えなくなる。
しばし休憩後、引き続き剣ヶ峰に向かう。
途中でお釜を偵察。高度差は200m程度。余裕があれば釜底まで滑ろうと考えていたが、9号5尺から登り返すのと同じくらいの労力が必要な訳で、最後はバテバテだったことを考えると、ちょっとこの高度差は厳しそう。
しかし覗いてみると50mほど下に大きなテラスがあり、釜底まで滑らずにそのテラスから登り返しているシュプールも多い。それくらいなら何とかなるか。
11:23 3776m 剣ヶ峰。
さすがに風が強く、測候所の影で休憩。
ここでドロドロと鈍い雷鳴が聞こえてくる。まだ遠く直接の危険はなさそうだが、そのうち土砂降りになるかもしれず、あまり悠長にしていられない。ガスで視界も悪いし、途中までにしても釜に滑り降りるのは止めておきましょう。
12:03 ガスの切れ目を待ち滑降開始。狭い馬の背は避け、釜に向かって剣ヶ峰直下の急斜面を滑った後、お鉢上までトラバース。そのままお鉢上を浅間大社奥宮まで滑る。
鳥居のある登りルート上は柵や露岩で滑りにくそうだったため、頂上小屋の西側からドロップ。
雪は硬めだが上々のザラメ雪。山頂からこれほど快適に滑れるとは思ってもみなかった。
ただし雪面は荒れ気味。雨による縦溝はないが、ところどころゲレンデのコブ斜面のようなデコボコができており、この軽量板ではスキーを押さえるのに苦労する。それでも雪がいいので飛ばしまくるが、スピードを出しすぎ、荒れた斜面に引っかかって派手に転倒したのはご愛敬だ。
12:28 3228m 8号目。
たしかここは小屋の西側から登ってきたよな、と進路を右に振るが、そちらの雪渓は先細りになっている。対して小屋の東側に大きな雪渓が広がっており、シュプールも多い。こちらを滑るのが正解か、と左に進路を戻す。結論から言えば、たとえ途中狭小になっても往路の通りに小屋の西側を滑るべきだったのだが……
この辺りで深いガスに包まれ、あろうことか雹まで激しく降り始める。車がボコボコになるような大きな塊ではないが、それでも痛い。ともかくこの視界ではせっかくの大斜面を思う存分滑れない。雹に当たられながらも、ガスが薄まるのを待つ。
幸いしばらくすると雹は降り止んで、ガスも切れてくる。
さて、8合目からは往路とは違う東側の雪渓を滑っているわけだが、途中で往路の雪渓に戻れると思っていた。が、往路の雪渓と再び繋がることはなく、結局7合目付近で途切れてしまう。やむなくスキーを脱いで隣の雪渓まで砂礫の上を移動。すぐそこなのだが、雪渓まで2mほどの崖になっており、降りれる場所を探してウロウロする。それでも10分もかからなかったが、溶岩石の交じる砂礫の上は極めて歩きにくく、30分くらい彷徨ったかのように感じられた。
12:56 2600m 6号目下部。
ここでこの雪渓は終了。もっと西側に駐車場まで続く雪渓があるはずだが、そこまでどの程度歩くかわからない。すぐ下にも新6号目の雲海荘まで繋がる雪渓があるので、ここは素直に往路の通りに歩きましょう。
が、いざその雪渓に出てみると、朝見た印象よりも小さいし汚い。なんかもういいや。もう十分滑ったし、この先さほどの距離もない。もうここで滑降は終了にしましょう。
13:08 2500m 新6号目。
後は駐車場まで10分程度だが、ここで再び雨混じりの雹が。ギリギリ間に合わなかった。痛くない代わりにびしょ濡れになる。しかしまぁそんなのも気にならないくらい、実に満足のいく楽しい山行ができた。
(2014/5/31)
これまで富士山界隈の日帰り温泉はあまり良い印象は持っていなかったのだが、ここは良い感じだ。
富士宮口や御殿場口から最も近い温泉なのに、なぜ今まで来なかったのだろう?(富士山に登ると必ず片頭痛が発症するのでそのせいか・・・)
泉質的にはあまり良さは感じないが、2011年リニューアルとやらで施設は新しく、かつ充実している。登山後に汗を流したいだけなのでそれで十分だ。
料金もこの設備で首都圏ということを考えると良心的ではないだろうか。平日なら500円だし。