※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
昨日の白馬鑓ヶ岳は日帰りの予定で、来週針ノ木岳を滑って今シーズンの板納めとしようと考えていた。ただ、せっかく白馬まで来たのにこのまま帰るのはもったいない。日曜も天気がいいようなので、続けて針ノ木岳を滑ってしまおう。来週の天気しだいでは、これをもって今シーズンの板納めとしてもいい。
昨日は白馬の道の駅で車中泊し、早朝、登山口の扇沢へ。
扇沢は立山アルペンルートの長野側のベース基地で、下部には大きな無料駐車場がある。今日はまだ余裕だろうと思っていたら、すでに7割ほど埋まってる。昨日からの立山の泊まり客が多いのかもしれない。
6:17 1422m 扇沢駅。
まずはシートラーゲンでゲート脇の登山道を登る。
途中、篭川左岸沿いの作業道に高さ2mほどの雪の堆積物があり、進路をふさいでいる。重機で雪をどけた跡のようだ。なぜこんなところに?と思いつつ、土砂交じりの雪の小山を乗り越える。
残雪は例年通り、またはちょっと多めといった感じ。雪が完全につながるのは篭川の橋からだ。
雪がつながっても、この先で幾つか堰堤を越えるため、まだしばらくヤブだらけの右岸斜面を歩く必要がある。シールでは効率悪く、シートラーゲンで歩き続ける。
7:09-7:11 針ノ木雪渓1693m。
大沢出合を過ぎ、最後の堰堤を越えたところで沢底に降りる。ここからシール登行。
雪渓のデブリは良くも悪くも例年並みといったところ。すでに大きな塊はなく、だいぶ均されている。とはいえ広範囲にわたって荒れており、ノドを越えるまで雪面がフラットな箇所はあまりない。滑りが楽しめるかちょっと心配だ。
8:30 2220m マヤクボ沢-針ノ木峠分岐。
ここからはマヤクボ沢へ。この時期にはよく用いられるルートで、針ノ木岳東南の肩に直接出ることができる。
ギリギリまでシールで登り、傾斜がきつくなる手前、2328mでアイゼンに換装。この斜面は階段トレースがあって楽に登れる。
この先、雪渓は2550mのモレーン台地まで3つに分断される。昨年はこのまま真っすぐ中央の雪渓を登った結果、モレーン台地でハイマツ帯にぶち当たり、板を持って10mほどハイマツの中を歩く羽目になった。なので今日は左側の雪渓から登ることにする。ちなみに右側の雪渓なら確実に雪はつながっているが(滑降時はいつもこちらを通ってる)、ちょっとだけ遠回りになる。今日は左側にもトレースがあったので、こちらはどうだろうというお試しだ。
ただ、結局こちらも想定より左側から回り込む形になった。右からでも左からでも、さほど差はなさそうだ。
モレーン台地から先も、立派な階段トレースが付いている。時間が遅いと下山してくる登山者に潰されることも多いが、今日はまだ大丈夫。おかげで稜線まで楽に登ることができた。
10:18-11:17 2818m 針ノ木岳。
山頂からの展望はいつもながら素晴らしい。
北には爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳~白馬岳へと続く後立山連峰。その右奥に頸城三山。北西、眼下の黒部ダムの上には立山・劔岳の堂々たる姿。さらに西から南に目を転じれば、薬師岳、黒部五郎や野口五郎岳、槍ヶ岳・穂高岳といった北ア最深部~裏銀座の山々が連なっている。さらに高瀬ダムを挟んで東には燕岳や大天井岳など表銀座の山々も。
街からこれほど近いのに、これだけ素晴らしい展望を得られる山というのはそうないのではなかろうか。
時間がまだ早いためか、しばらく後に単独の登山者が登ってきただけ。風もなく、静かでゆったりとした時間を過ごす。
11:17 滑降開始。
今日は一段下がった東南の肩から滑り降りようと思っていたが、板を持ってそこまで降りるのが面倒になる。このまま山頂直下の斜面を滑ってしまおう。気温が高いので湿雪スラフが心配ではあるが、昨日も似たような条件で、思ったほどスラフは流れなかった。今日も滑りを阻害するほどにはならないだろう。
しかし――
昨日からずっと高温続きというのはやはり違う。滑るそばから多量の湿雪スラフが流れていく。ゆっくりとしたスピードだが、止まることなくモレーン台地まで流れ、斜面は一気にグダグダになる。スラフに追いつかれないようサッサと滑りきればいいのだろうが、そんな度胸はない。スラフをやり過ごしながら少しずつ滑ることになる。
こんな状況でも本人としては十分に楽しめたつもりなのだが、後日、東側の斜面を登っていたヤマレコユーザーの方から「ハラハラして見ていた」とコメントされてしまった。
モレーン台地まで降りたら北側に移動し、マヤクボ沢下段はコル側(北側)の雪渓を滑降。こちらはもうスラフの心配をする必要もなく、楽しく滑ることができる。
針ノ木雪渓と合流してからは雪は荒れまくり。ただ、往路で感じたほど滑りにくくはない。雪は適度に緩んでいて、ちょっとしたデブリに乗り上げても簡単に潰れるし、板もよく走る。小石もそう多くない。例年だと雪渓後半は滑るのがイヤになることもあるが、この日は予想以上に楽しめた。
1695m、大沢出合の200mほど手前で沢底を抜け、右岸をトラバース。そのまま堰堤をパスしていく。
大沢出合から先はだいぶ灌木が起き上がっているが、強引に滑り続ける。
12:04-12:09 1530m 篭川の橋。
滑降はここまで。あとは板を担ぎ、20分ほど登山道を歩いて終了だ。
ちなみにこの日、大町の気温は30度超。さすがに山はだいぶマシだが、それでも途中からはソフトクリームを食べることばかり考えていた。ゴールの扇沢駅で即それを実行できるのは嬉しいことだ。
(2017/5/21)
大町温泉郷の近くにある市営の公共日帰り温泉施設。
そのためか、趣も何もない感じ。浴槽もタイル張りで、なんだかゆったりした気分になれない。
内湯のみ。いちおう源泉掛け流しらしいが、あまり湯の良さは感じられず。
この日は午後早い時間だったので余裕があったが、夕方は地元客で混雑するらしい。
この辺りでは安価なので、おまけの中評価。