※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
日曜は冬型気圧配置となるようだが、午前中は里雪型というやつで、意外と山は晴れるらしい。ただし午後から山雪型になり、天気は崩れるとのこと。それなら上州武尊に行くことにしよう。この山なら状況に応じていろいろコースを選ぶことができる。とりあえずオグナほたかスキー場から前武尊山に登り、さほど天気が良くなければ荒砥沢を下ればいいし、天気が保ちそうなら家ノ串山から西俣沢を滑ってもいい。後者の場合はそのまま下ると旧ほたか牧場スキー場のほうに行ってしまうが、途中で尾根を2つ越えれば周回できる。一度試してみたかったコースだ。
リフト券は「ファーストトラック券」を購入。通常は8時30分営業開始だが、これを使えば第2・第7リフトのみ朝7時から利用できる。ゲレンデトップまで残りリフト2本分を自力で登る必要はあるものの、その分を差し引いてもだいぶ早立ちできる。時間いっぱいゲレンデを滑ってもいいだろうし、なかなか利用価値があるチケットだ。
今日はゲレンデを1本だけ滑ったが、ガリガリでまったく面白くない。さっさと山に入ることにしよう。
8:00 1587m 第7リフトトップ。
まずはゲレンデトップを目指し、きれいに整地されたコース脇をシールで登る。リフト2本分とはいえ距離・高度差ともたかが知れている。さほど苦にならない。
8:30 1802m ゲレンデトップ。
ちょうど通常リフトの営業開始時間となった。まぁこの時間にリフトに乗っても、ここまで上がって来るにはまだ30分以上かかる。この人気ルートも一人静かに登ることができる。
昨日からの降雪はあまりなかったようで、ルート上はトレースが埋まりきらずに多少残っている。とはいえトレースは固く凍りついており、上をなぞるとかえって登りにくい。たいしたラッセルではないので、適宜トレースを外して登る。
9:09 2029m 前武尊山。
天気が悪ければここでシールを外して荒砥沢を滑るつもりだったが、まさかのピーカン。このまま先に進むことにしよう。
まずはシールのまま細い稜線上をしばし下り、剣ヶ峰コル(荒砥沢源頭)へ。
ここからの剣ヶ峰東斜面のトラバースが本日の核心。この斜面は雪崩が発生しやすく、実際、かつて死亡事故も起きている。幸い今日はだいぶ雪が安定しており、事前に確認した「雪崩ネットワーク」の発表も「Low」になっていた。これなら安心して歩いていける。
ほとんどの人が十二沢か荒砥沢を滑るため、この先のトレースはだいぶ減るが、それでも多少は残っている。このようなトラバース斜面でのトレースはありがたい。接地面が増えるので、無理にエッジを引っかけなくても普通に板を滑らすことができるのだ。
前武尊山から20分ほどで家ノ串山直下のコルに到着。あっという間だった。
さてこの先どうするか。今日は最長でも家ノ串山をゴールとするつもりだった。しかしこの快晴の中、もう下山というのはもったいない。せっかくなので最高峰の武尊山(沖武尊)まで足を延ばすことにしよう。稜線を往復するだけなので滑りはさほど楽しめないが、今日はスキーより雪山ハイキングに徹したほうが楽しめそうだ。
この先、武尊山までは家ノ串山経由で稜線上を辿るものだと思っていた。しかし先行トレースは家ノ串山には登らず、西斜面から巻いている。確かにそのほうが効率的。自分も真似して西斜面をトラバースすることにしよう。
西斜面に出ると、これまで隠れていた川場谷の素晴らしい光景が目の前に現れる。東側の荒砥沢はさほど見通しが良くなくて陰鬱な感じだったが(というほどひどくはないが)、こちらは広大なすり鉢状の斜面で、立木も少なく見晴らしがいい。谷自体は川場側から登ったときにも見ているが、こちら側から見るとまた格別だ。
川場谷の向かいには剣ヶ峰山など川場スキー場からのコース。今日も大勢登っていることだろう。そしてその奥には谷川連峰や苗場山、浅間山などがくっきり見える。この光景を見られただけで、武尊山を目指すことにした甲斐があった。
しかし景観は良いものの、けっして気を抜けるようなコースではない。特に家ノ串山南西尾根を越えるところがイヤらしい。先ほどの剣ヶ峰東斜面以上に急傾斜だし、谷も深くて高度感を感じる。慎重にトラバースする必要がある。
このトラバースは家ノ串山を巻くところまでで、あとは稜線上を辿るのだろうと思っていた。しかし先行トレースはそのまま西斜面のトラバースを続けている。
この手の無木立斜面のトラバースは避けるに越したことはないが、今日は雪が安定しているし、傾斜もさほど急ではない。枝尾根や小沢もなく、稜線上を辿るより効率も良いはず。自分もこのままトラバースを続けることにしよう。
ちなみに今日はさほど心配せずに歩けたが、このトラバースルートはやはり雪崩が怖そうなところもある。雪の状況しだいでは尾根上を歩いたほうが無難だろう。
武尊山の200mほど手前で稜線へ。先行トレースはさらにトラバースを続けていたが、もはや稜線上のほうが登りやすいだろう。
10:29-10:55 2157m 武尊山。
ゲレンデトップから2時間で沖武尊に到着。コンディションが良かったからだろうが、まさかこんな短時間で登れるとは思わなかった。
展望は相変わらず素晴らしい。今日は里雪型といえど冬型気圧配置なわけだから中越の山までは見えないと思っていたが、まるでそんなことはない。北側もきれいに晴れており、越後三山や守門岳などもきれいに見える。もちろん北東には至仏山・燧ヶ岳、会津駒ヶ岳など尾瀬・会津の山々も。昨年のように雲海はないので感動的な光景とまではいかないが、先々週はガスがちだったので、これだけ見えれば十分満足だ。
軽く食事をとったら、天気が崩れる前にとさっそく下山。コースをどうしようか迷った末、素直に家ノ串山まで戻ることにする。
ただ、その前にちょっとだけ川場谷源頭を滑ることにしよう。
こちらは無木立で広大なすり鉢状斜面。まさにスキー向きといえるが、ただ、南面ということで雪質は良くない。最上部はいちおう表層だけサラサラだったが、ちょっと下るとすぐにサンクラスト気味になってしまった。
しかしまぁ雪崩に怯えず思いっきり滑れるし、なにより景観が素晴らしい。カチカチのゲレンデのようではあるが、気分良く滑ることができた。
10:59-11:14 川場谷2016m。
ここから先は傾斜が増し、登り返しが面倒になる。滑降はここまでにしておこう。
傾斜の緩いところでシールを付け、家ノ串山に向かって登り返し。といっても往路のトラバースルートとの標高差は20mほどしかなく、若干登り気味にトラバースするだけでよい。ほどなく往路のトレースに合流し、さほどの苦労もなく戻ることができた。
家ノ串山直下まで来たところでトレースを離れ、家ノ串山に向かってジグザグ登行。登りやすそうな南側から回り込む。稜線上には朝にはなかったスノーシューのトレースがあり、最後の急斜面もラクに登ることができた。
11:50 2102m 家ノ串山。
山頂にはトレースを付けてくれた2人のボーダーさん。午後から天気が崩れるというので、このまま前武尊山に戻って十二沢を滑るそうだ。実際この時間は雲が広がり、日が当たらなくなってきた。天気の良いうちに沖武尊に登れた点は良かったが、滑走時にこれはちょっと困る。特にこれから滑る荒砥沢右俣のような無木立の沢な場合、雪面の細かいギャップが見えないとうまく滑れないのだ。
12:06 滑降開始。
出だしは勾配が緩めで滑りやすいが、すぐに急傾斜となる。雪質は新雪とクラストのミックスで、暗くて雪面がよく見えないこともあって、あまり快適には滑れない。それにクラスト気味とはいえ、沢地形でこれだけ急斜面となると雪崩も怖い。昨年雪崩で死亡事故が起きたのもここだ。これならもっとコル側に移動して、比較的広くて傾斜の緩い斜面を滑ったほうが楽しめたかもしれない。
中間部以降の沢底は雪がフカフカ。ただ、やはり雪面が暗くてうまく滑れない。振り子のように沢全体を使って滑ることになる。
それでも左俣との合流点が近づき、傾斜が落ち着いてくると快適に滑れるようになる。これまで上部はフカフカでも、ここまで下ると日当たりも良く、ベタ雪になることが多かった。しかし今日はそうひどくない。短い間ながら、上部の鬱憤を晴らすかのように楽しく滑る。
ほどなく左俣に合流。この左俣は前武尊山から荒砥沢を滑る際の一般的なコースで、そちらからのシュプールがけっこう残っている。そのまま荒砥沢を滑って林道経由で戻るようだ。
このコースにこれだけシュプールがあるのは珍しい。荒砥沢はこの先で谷が狭まるので、この右俣に合流する手前の1750m辺りで登り返す人が多いのだ。今日はたまたまなのか、傾向が変わってきたのか……。
ともあれ自分も引き続き荒砥沢を滑走。
これまでこのコースは降雪直後に滑ることが多く、V字型に谷が狭まる区間は雪崩に注意する必要があった。それに沢底に新雪がたまるので、下りラッセルになることも多い。
しかし今日はほどよく雪がしまっていて、スムーズに滑り抜けることができた。
12:41-12:50 荒砥沢1437m。
ここで滑走終了。先行シュプールはさらに荒砥沢を下っているが、それだと林道歩きの距離がかなり長くなる。いつものようにここで右岸の前武尊東尾根に登り返し、林道をショートカットすることにしよう。
登り斜面は北西面になるので、これまでの斜面と違って雪がフカフカ。多少のラッセルが必要になる。ラッセル自体は別に構わないが、下りは雪の悪い東斜面を滑ることになり、ちょっともったいない。これが逆なら良かったのに。
13:14-13:22 前武尊東尾根1561m。
ここから再び滑走。まずは東尾根上をしばらく滑る。尾根上は若いブナの群落。ちょっと木は濃いものの、これはこれで楽しく滑れる。
1490mで支尾根に入り、十二沢-林道出合辺りを目指して滑る。こちらはカラマツ林。日当たりの良い東斜面なのでクラスト気味だが、十分快適に滑れる。荒砥沢上部より楽しめたぐらいだ。
13:34-13:39 1360m 十二沢-林道合流点。
ここで滑走終了。あとは林道を歩いてゲレンデに戻るだけ。
林道はスキーのトレースが残っているが、ツボ足だとやはり潜る。10分程度の道のりながら、急がば回れとシールをつける。
最後はゲレンデ(ほたかスカイウェイ中間)に合流。ゲレンデ内をちょっと滑って終了だ。
(2004/1/18)
道の駅内にある立派な施設。混雑するとのことだが、今回14時頃行った時には大丈夫だった。常にこの程度空いているのであれば、もう少し高得点を与えてもよい。
雪の中の露天風呂は、なかなか。
(2017/3/4)
いつからかわからないが料金が800円→650円に改訂されていた。
この日はスキーハイシーズンの土曜夕方ということで大混雑。出る頃には広い洗い場なのに10人ほどの待ちができていた。