※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
今週末の上信越地方は晴天が望めそうにない。それでも東信地方はまだマシなようなので、入門ルートでお馴染みの根子岳に行くことにする。整備されたツアーコースは登りに使うだけにして、大明神沢源頭や中尾根(ツアーコースと菅平牧場コースの間の尾根)を滑るのであれば、初心者向けのこの山でも十分楽しめるだろう。
ちなみに昨年も大明神沢を滑ったが、シールを外すのが早すぎ、山頂直下から南面ルンゼを滑ることになった。上級者には魅力的なコースなのだろうが、個人的にはこの時期にルンゼなんか滑りたくない。今回は源頭(大スキマ)のほうまで回り込んで滑る予定だ。
8:01 1438m 奥ダボススキー場駐車場。
リフト運行開始までまだ30分ほどあるので、ゲレンデ脇をシールで登る。標高差はたかだか150m、リフトを待つほどではない。
20分余りでゲレンデトップ。ここからは整備されたツアーコースを歩く。
コース上は雪上車できれいに圧雪されていて、ゲレンデとまったく変わらない。しかも雪上車が繰り返し往復し、広々と整備されている。スキー場の下手な迂回コースなんかよりよほど立派なくらいだ。
まぁこの斜面は登りに使うだけと割り切っている。むしろラッセルせずに済むのでありがたかったりする。
途中、ネコバス2台が追い抜いていく。初めは整備車かと思ったが、しっかり客が乗っていた。山頂方向は深いガスに覆われているのに、こんな日にこんな早い時間からネコバスが運行されるとは思わなかった。
小根子岳分岐を過ぎても(幅は多少細くなったが)圧雪されたツアーコースは続く。
やがて、ガスの中から突如としてたくさんのスキーヤー・ボーダーが現れる。ネコバスツアー客が滑り降りてきたのだ。全くもってバックカントリー感はない。しかし騒がしいのも一瞬のこと。視界が悪くて残念だったねと、温かい気持ちで見守ってあげられる。
圧雪コースは2170mまで。ここからやっとバックカントリーっぽくなる。指導標の立ち並ぶツアーコースを通って山頂へ向かう。
10:00 2204m 根子岳。
山頂にはすでに数名のネコバスツアー客がたむろしている。だからというわけではないが、休憩なしでそのまま滑降開始ポイントとなる大スキマ(根子岳・四阿山コル)へ向かう。
昨年は何もわからず山頂でシールを剥がし、アップダウンのある稜線歩きに対応できなくなった(そのため南面ルンゼを滑ることにした)。今回はその反省を踏まえてシールのまま進む。が、それでも歩きにくい。狭い稜線上は雪が深くて大きく波打っており、そして両サイドは切れ落ちているので逃げ場もない。
途中、大岩が通せんぼするところ(これが鬼遊びの庭か?)は、状況しだいで板を担いで登山道通りに歩こうかと思っていた。しかしいざそこまで来てみると、雪が深くてとてもツボ足で歩く気にはなれない。南側から巻けそうだったので、そちらからトラバースしよう。
もうここでシールを外してもいいのかもしれないが、ガスで斜面の様子がよく見えない。念のため滑降開始予定ポイントまでシールのまま進むことにする。雪が落ち着いていればなんてことない斜度なのだが、今日は雪崩れそうでちょっと怖い。
10:24-10:34 根子岳-大スキマ間2182m。
ここでシールを外して滑降開始。
もともとはこの辺りから直接沢に滑り込む予定だったが、ほとんど何も見えない中、この新雪の量でこの急斜面を滑るのは怖すぎる。もうちょっと尾根上を滑り、傾斜が落ち着いた辺りから沢に滑り込むことにする。
しかしこの視界では、傾斜の緩い尾根上を滑るだけで大変。三半規管をやられ、ちょっと滑るだけで酔いが回る。雪の吹きだまりに突っ込んだり、ちょっとした段差に気づかず転びそうになったり。 広々とした疎林帯の素晴らしい斜面、しかもサラサラのパウダーなのに、思うように滑れない。
ちょっと下ると木々が点々と見えるようになる。これなら十分滑れるだろうと思いきや、結局のところ満足いく滑りはできずじまい。ところどころ快適に滑れる斜面もあったが、総じて残念な感じに終わった。
沢底まで下るとだいぶ明るくなり、ときおり日も当たるようになる。こうなればもう大丈夫。途中までは小沢が錯綜してアップダウンが多いが、まぁスキーでこなせる範囲だし、特に問題はない。
やがて河畔が広がり、カンバの樹林帯に。傾斜もぐっと緩くなる。それでも板の走る雪質で、どんどん滑っていける。これはこれでけっこう楽しい。
11:06-11:30 大明神沢1770m。
大明神沢の滑降はここまで。ここから南尾根を伝って根子岳山頂まで登り返す。
コースガイドなんかを見ると、このまましばらく大明神沢を滑り、途中で尾根に出て菅平牧場に下山するコースが紹介されている。ただ、それだと奥ダボスの駐車場まで戻るのが面倒。それなら根子岳まで登り返してしまった方がいい。
この南尾根は傾斜がちょっときつめ。ジグザグじゃないと登れない。場所によってはクラストバーンの上に50cmほど新雪が乗った状態で、表層ごと滑ってしまう。基本的に樹林帯なのでさほどの心配はないが、途中オープンバーンもあるので、そういうところは避けて登る必要がある。
登り返しから1時間ちょっとで菅平牧場コースのある南西尾根に合流。
この先はガスが濃く、風雪も激しい。サングラスが凍って前がよく見えない。さっさとゴーグルに切り替えればいいのだが、どうもゴーグルが苦手で、この程度の条件では付ける気になれないのだ。
まぁ傾斜は緩くなり、雪もクラストして登りやすくなっている。足元だけ注意して高いほうに登っていけば、そのうち山頂にたどり着くはずだ。
13:07-13:25 2205m 再び根子岳。
この風雪の中でシールを外すのは面倒だなと思っていたら、山頂に着いた途端ピタリと風がなくなった。これなら落ち着いて滑降準備ができる。
この時間、ほかに人はいない。さすがにネコバスツアーも中止になったのかもしれない。
13:25 滑降開始。
下山コースは、ツアーコースと菅平牧場コースの間の尾根。
このコースは20年近く前に滑ったことがあるが、その時はガスが深く、あまり楽しめなかった。たとえガスじゃなくても、灌木がうるさかったり、最後はストック漕ぎが必要になったりと、コース自体あまりいい印象を持っていない。圧雪されたツアーコースよりかはマシだろうという程度だ。
しかし、今日滑ってみると想定外の面白さ。
相変わらず上部は視界が悪いが、大明神沢ほどひどくはなく、木も邪魔にならない程度に生えているので、それを目印に滑っていける。この程度の傾斜だと新雪が多すぎると止まってしまうこともあるが、今日は雪の量も適度。とても楽しく滑っていける。
後半、ゴルフ場の緩斜面に入ってからも滑りが悪くなることはなく、快適に滑り続けられた。
最後は小沢を横断。かつて滑ったときは駐車場まで上り勾配となり、逆ハの字で進む必要があった。しかし今日のルートだと、ちょっとしたストック漕ぎ程度で簡単に滑り抜けられる。たぶん以前より上流を渡ったのだと思うが、その差は大きい。
あとは駐車場まで一直線。最後まで快適に滑ることができた。
それにしても中尾根がこんなに面白かったとは……。今後、他のエリアの天気が悪く、かつ滑り重視の山行がしたい場合、この中尾根目当てで根子岳に来てもいいかもしれない。
(2016/01/23)
四阿山下山後にR144経由で帰宅することにし、見つけたのがここ。
真田・東御側の温泉に比べて非常に空いているのがよい。ただし鹿沢ハイランドスキー場からの客でシーズン中は混雑するという情報もある(時間が早かったためかこの日はそれっぽい客はまったく見かけなかった)。
きれいな施設で、源泉掛け流しの檜風呂もとても快適。
冬期のためか露天風呂は閉鎖されていたが、室内風呂だけで十分満足。
入らなかったが岩盤浴もある。薄暗く仮眠室のようになっていて、疲れていたらぐっすり寝てしまいそう。
この風呂に入らんがために、今後もわざわざR144経由で帰ろうかという気にすらなる。