※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
さてGW。大雪渓を滑ってみたいというピエールのリクエストがあり、今年は白馬方面に行くことにする。起点となる猿倉までの道路は5月1日に規制解除されるようなので、猿倉かどこかにテントを張り、周辺の日帰りコースを3本くらい滑ることにしよう。
候補は白馬岳と、最近人気の金山沢、そして栂池スタートのお手軽コースをどれか。いつどこを滑るかは天気や残雪の状況によって決めることにする。
しかし天気予報は微妙。初日は快晴らしいが、だんだんと崩れ、最終日には大荒れになるらしい。ならば初日にメインの大雪渓に行くべきなんだろうが、寝不足の疲れた体でいきなりハードな白馬岳には登りたくない。ということで初日は金山沢を滑ることにする。
最近は栂池自然園へのロープウェイも4月から運行しているので、標高2600mの北アルプスの稜線まで2時間半足らずで行くことができる。これは楽だ。
そして金山沢の大滑降。沢は広く、白馬沢出合まで上・中級程度の滑り応えのある斜面が続く。どちらかというと林間滑降のほうが好きな私であるが、このくらい豪快な滑りができるとまた別である(とはいえバンディットのような滑降主体の板で滑ったからそう思っただけで、昔ながらの細板で滑っていたらまた別の感想を持ったかもしれない……)
ともあれ猿倉-栂池の移動の手間を補って余りある素晴らしいコースであることには間違いない。人気が出るのも頷ける、そんなコースであった。
栂池スキー場の駐車場の位置を確かめずに適当に走っていたら、記憶にない寂れた無料駐車場へたどり着く。ゴンドラに乗ってから気づいたのだが、ここはゴンドラの中間駅であった。へリスキーの発着所にもなっており、中間駅といえど、ヘリ待ちの客でごった返している。
ゴンドラ、ロープウェイのチケットを買うためには登山届を出す必要がある。もちろんバックカントリー大国の白馬栂池のこと、用紙は揃っているので、その場でサクッと書いて提出するだけだ。ロープウェイはたいして高度を稼いでくれないのだが、まあせっかくなので乗ることにしましょう。
今年は残雪がさほど多くなく、この中間駅の辺りはまるで夏のゲレンデのようだが、ゴンドラ1本とロープウェイで一気に残雪3mの冬の世界に連れて行ってもらえる。
9:50 準備を整えロープウェイ自然駅を出発。ほとんどの山スキーヤーが天狗原へ登っていくのを尻目に、立派な小屋が立ち並ぶ自然園方面へと向かう。意外と数は少ないなと思いつつ小屋の裏に出て一気に視界が開けると、居るわ居るわ、自然園の広い平原上はともかく、その先の斜面には人が数珠繋ぎになっている。予想以上の人気ルートだったようだ。
自然園の平原を過ぎると緩やかな登り斜面になり、やがて傾斜はどんどんきつくなっていく。白馬鑓や唐松岳を左に見ながらの、なかなか写真の撮りがいのある斜面である。
金山沢に出るだけなら稜線まで登る必要はなく、2301m台地を目指してトラバース気味に進めばよいのだが、我々は直接稜線上の船越の頭を目指す。稜線直下はかなりの急斜面なので、雪の安定していない日はそこまで登らないほうがいいかもしれないが、今日の雪なら大丈夫だろう。
シールの効きやすい雪なので急傾斜になってもシール登行を続けるが、稜線直下はその限度を超え、さすがに最後は板を担ぐ。
12:15 船越の頭に到着。快晴で風もなく、のんびりと過ごすことができる。北アルプスとはいえ北の端、剣・槍といった絢爛たる山々が見えるわけではないが、それでも後立山に隠れた雪倉・朝日岳の山スキーコースを一望にできるようになる。
さて滑降。稜線直下は結構な急斜面で、他のパーティはしばらく南西へトラバースし、斜度が若干緩くなるあたりから滑り始めている。好天続きゆえ滑ったそばから表面の緩い雪が崩れ落ちてゆき(P12)、見た感じちょっと緊張。が、ピエール君は躊躇せずいきなり直下の急斜面を滑り出す。私はちょっとトラバースしてから滑り出したが、思ったより雪は悪くない。なにしろ天下の名板バンディット、腐れ雪を蹴散らして滑って行ける。
2301m台地でいったん傾斜は緩やかになり、多くのパーティーがここで休憩している。ここまでは稜線からの一枚バーンの大斜面だったが、この先から明瞭な沢が始まる。とはいえ広くすっきりした沢で、中級程度の快適な滑りが続く。
標高1500mで土交じりのデブリが現れるが、まだ板を履いたまま通過できる(こう書いて気づいたが、標高差1000m以上もすっきり滑りやすい斜面が続いたわけだ)。
このデブリゾーンを越してもまだ快適な斜面が続く。変化には欠けるが、最後まで谷幅は狭くならず、先ほどのデブリ地点以外は小石や枯れ枝も少ない。
目の前に白馬岳主稜が広がると、もう大雪渓との出会いだ。快適な滑降はここまで。白馬沢を越え(まだ十分埋まっている)、あとは登山道をちんたら滑る。最後は猿倉山荘への急斜面を滑り、終了である。
猿倉の駐車場は大混雑。道路はずっと下まで路駐の車が連なっている。当初はここにテントを張り猿倉ベースであちこちに行こうと思っていたのだが、テントどころか車を止めるスペースもない。
あとは面倒な栂池への戻り。といってもバスは途中で諦めていたので(実際はタッチの差だった)、優雅にタクシーを使うことにする。栂池まで帰るという他のパーティーを見つけ、5名相乗りで一人1000円ちょいで帰ることができた。
(2004/5/2)
土産物屋・レストランの建ち並ぶR148沿いの複合施設「グリーンバレーガーデン」内にある。駐車場はいつも大混雑で、それゆえ風呂も混んでいるかと思いきや、それほどでもない。
風呂は値段相応で可もなく不可もなくといったところだが、ビーチチェアの置かれた広く開放的な休憩室が良い。間違いなく、寝る。
ロープウェイ自然駅まで
駐車場:ゴンドラ中間駅 無料
ゴンドラ片道 1,000円 ロープウェイ片道 720円
猿倉→栂池スキー場ゴンドラ中間駅まで
タクシー 5,050円
※2004/5/02現在