※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
白馬ツアー2日目の天気予報は雨。我々は初日に天狗原を滑ったのでまだいいのだが、ダマは夕方に着いたのでまだどこも滑っていない。遠いところをやってきて、結局どこにも行けないなんてことになったら可哀想だ。ドシャ降りだったとしても、ダマだけ連れて天狗原ぐらいは行っておこうか。
ところが朝起きてみると、雨が降っていないどころか時折晴れ間も見える。低気圧が早めに通り過ぎたようだ。となれば天狗原どころか山ノ神尾根も十分可能ではないか。上部はガスのようだが、GPSがあるので問題ない。車も2台あるので栂池への戻りも楽勝だ。
それなら、ということで徳内ダンナも参加することになった。サトは残念ながらゲレンデで別行動。
この山ノ神コースはまさに典型的なクラシックルートといえる。豪快な滑りはできないが、非常に変化に富んだコースで、テレマークスキーの機動性を遺憾なく発揮できる。まだ細かいコントロールのできないダマはちょっとてこずるかもしれないが、こういうクラシックルートも一度は滑っておいた方がいいだろう。
ダマの車を白馬乗鞍スキー場に置き、昨日同様ゴンドラ&ロープウェイを駆使して栂池自然園を出発。白馬岳方面はそこそこの積雪があったらしいが、こちらはそれほどでもなく、黄砂で黄色くなった雪がうっすら覆われている程度。それでも4月になってから毎週新雪である。いったいどうなってるんだろう。
登り出しは深いガスが立ちこめていたが、そのうちガスが切れ、時折晴れ間も見えるようになる。気温が上がるにつれこのまま晴れてくれそうにも思えたのだが、それは甘かった。
(ちなみに写真を撮るのはガスが切れた時だけであり、しかもここに載せた写真はすべて補正している。実際はこれらの写真の印象よりはるかに視界は悪い)
昨日のように中央の祠までは行かず、直接山ノ神尾根へ向かう。天狗原の南東端は山スキーレースのルートと重なっていて、昨日見たルート旗が等間隔で並んでいる。
滑降のスタート地点となる山ノ神尾根の付け根はまだ先だが、もうシールは必要なかろうと平原の途中でシールをはずす。
11:30 山ノ神尾根の付け根に至り、ここからが実際の滑降開始。普段なら山ノ神尾根全体が見渡せるのだが、ガスが立ちこめて何も見えない。
数100m滑り尾根が東向きになったところで、2072mの小ピークが現れる。ここは左斜面を巻いていくが、この小ピークを過ぎてからも標高1960m辺りまでは傾斜のない斜面が続き、快適には滑れない。
標高1980m点の山ノ神の手前で再び山スキーレースのルート旗を発見。それとは別にスキーコース本来の指導標もあるのだが、こちらは木に結わえられているためこのガスの中では見つけにくく、山スキーレースのルート旗のほうがはるかに目立つ。たまたま事前に昨年のコース図を見る機会があったが、レースコースは確かこの辺りで300mほど山ノ神コースと重なっていたはずだ。なのでわかりやすいレースコースのルート旗を目印に滑ることにする。
しばらくルート旗通りに快調に下っていくが、途中でふと気づく。この辺りはまだ傾斜のない尾根が続くんじゃなかったっけ……? そう思いGPSを見ると、全然違う枝尾根を滑っているではないか。なぜこんなところにルート旗が立ってるんだ?
(後日山岳スキー競技会のHPを確認してみたら、私が事前に見たのは昨年行われた「実際の」コースであり、予定コースはもっと複雑で、確かにこの枝尾根を下っているのであった)
それにしてもGPSを持っていて良かった。標高差60mほど戻る羽目になったが、無事正しいルートに復帰することができた。
標高1960mから下は快適な滑りが続く。といってもそれは地形上の話で、この腐れ雪にステップソールの細板はつらい。
標高1925m付近で尾根滑りはいったん終了。5mほど尾根が盛り上がる手前で南東の斜面にドロップする。その先はしばらく林間の広い快適な斜面が続くが、その分ルートはわかりにくく、GPSとコース指導標を確認しながら確実に滑る。
やがて1534m点手前の小コル。前回GWに来たときは尾根上の雪が切れていて、右から大きく回り込んだところだ。今回は雪が十分あるのでそのまま狭い尾根上を直進。その後すぐに前回の記憶を頼りに東の急斜面へドロップする。かなり急傾斜。確かに前回も急斜面だったのは覚えているが、ここまで酷くはなかった。視界が悪く下がどうなっているか全然見えないが、ここを下りるのはあまりに危険すぎる。
結局そのままトラバースして一度尾根に戻ることにしたが、なかなかこの急斜面のトラバースも厳しいところだった。まあダマにはいい経験だろう。その後尾根を行き過ぎたりしたが、GPSを頼りに正式ルートを見つける。ドロップポイントが若干早かったようだ。
しばらく快適な斜面を滑ると、やがて黒川沢へ下りる急斜面。一昨年のGWは地面もかなり露出しており、樹間の狭い斜面をジャンプターンで下ったものだが(しそこなって泥だらけになった)、今年はゲレンデのような切り開きの斜面を難なく滑る。後は黒川沢を滑っていくだけ。途中ルートを間違え時間を食ったが、なんとか予定通り14時には戻れそうだ。
しかし沢が東に折れるところでダマが大転倒。ビンディングが壊れたようだ。見るとケーブルの接続部が切れている。これは困った。ダマに私の板を履かせ、私は片足スキーで降りようか。以前ゲレンデでビンディングが壊れた時に試したことがあるが、この腐れ雪では厳しそうだなあ。
しかしよく見ると、このビンディングはケーブルの先端がフックになっていて、フロントの金具から簡単にはずせるようになっている。ならばケーブルを丸ごとはずし、代わりに細引きを結びつけるというのはどうだろう。バネがないので踵を上げ下げするとはずれてしまうだろうが、見かけは普通のケーブルビンディングと変わらない。ダマと板を交換し、これでチャレンジ。
うん、思った以上にうまく滑れる。もはや難しい斜面はなく、板も太いので(といっても今の基準ではもはや細い部類だが)、テレマークポジションをとる必要はない。堰堤まですんなり滑ることができた。対してステップソール細板を履かされたダマはかなり苦労しているが。
堰堤はガイド本の記述通り右岸から越える。しかしこの応急処置ビンディングでは急斜面の階段登行がうまくできず、苦労する。特に堰堤を越えてから林道に下る個所を間違え(すんなり降りればいいところ、高度を落とさないよう急斜面を無理にトラバースを続けた結果、雪の割れ目にぶち当たって立ち往生してしまった)、相当時間を食ってしまう。
なんとか林道まで降りたら、あとは楽勝。林道上は直滑降で無難に滑り、そのまま営業終了した白馬乗鞍スキー場へ。もちろんゲレンデ内は雪はたっぷり、応急処置したビンディングで問題なく滑る。それまでステップソールの細板を履いていたので、むしろ滑りやすいくらいである。
それにしても前回は堰堤から先は雪がなく、スキー場の下まで30分ほど歩く必要があったが、今回はスキーであっという間だった。雪があるとやはり楽だ。