※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
以前、ピエールより、八海山周辺に厳冬期に楽しめる山スキーコースがあると聞いたことがある。彼もまた詳細は知らず、そのまま数年が過ぎたが、昨年末に発売された「山スキー百山」にそれらしい山が紹介されていた。
――阿寺山。
これがたぶんそうだろう。滑降だけでなく、越後三山など眺望も素晴らしいようだ。
さて今週末は土曜の日中だけ冬型気圧配置が緩むようで、上越国境辺りは晴天も期待できる。ならば平標山にでも行こうかと思ったが、下部はヤブだらけというし、いまいち気は乗らない。
そこで、この機会に阿寺山に行くことにする。
上越国境と違って天気はさほど期待できないようだが、滑りに関しては平標山より楽しめるに違いない。何より初めてのコースだし、マンネリ気味の平標山と違ってワクワクする。
朝6時半、スタート地点となる広堀橋手前の最終除雪地点に到着。路肩に除雪されたスペースがあり、4~5台駐車可能。道路脇を使えばもう少し止められそうだが、10台までは厳しい。
出発の時点で車は4台。近年はBCコースとしてだいぶ有名になってきたようで、思った以上に早い時間から人が入っている。
6:58 382m 広堀橋。
まずは未除雪の車道をシール登行。
先行はスノーシューのボーダーさん2名とワカンの登山者1名。新雪はこの辺りで20~30cmほどで、樹林帯はさらに深い。トレースがあるのはありがたい。
道路は途中で迂回するところがあり、ショートカットも可能だが、トレースもあるので素直に道路上を歩き続ける。
15分ほど歩いたところでまずいことに気づく。
――水を忘れてきた……。
時間はまだ早く、コンビニもそう遠くないのでいったん戻って出直すべきなのだが、なんだか面倒くさい。コーヒーならマグボトルに入れてきてるし、このまま進んでしまおう。いざとなれば雪を溶かして飲めば良い。
7:28 528m 道路終点。ここから尾根に取り付く。
取り付き箇所はひどいヤブでうんざりするが、ちょっと中に入ればそれほどでもない。例年に比べればだいぶヤブも多いのだろうが、少なくとも登る分には邪魔にならない。
尾根はそこそこの勾配。スノーシューのボーダーさんは直登しているが、シールの自分はジグザクに斜登行しないと登れない。ほどなく追いついて先頭に立つが、歩く場所が違うのであまりラッセルの役には立てないかも。
その後は一人黙々とラッセル。勾配のきつい箇所などそれなりに潜るが、雪が軽いのでそれほど苦にはならない。ただ、ところどころ尾根が狭まってシールでは登りにくいところもあり、歩く場所に迷ってろくでもないトレースを残してしまうことも。後続の方々、ゴメンなさい。
それより水がないのがつらく、雪をしゃぶりながら登る。結果的にそれで往復できたが、電解質不足のためか時々足が痙りそうになる。
9:47 1210m 単独のテレマーカーさん2名が追いついてきてラッセルを代わっていただく。もはやこのまま山頂まで一人でラッセルする気でいたのでちょっと残念な気もしたが、やはり代わってもらえるとありがたい。
以降はラッセルを交代しながら3人で山頂を目指す。
1400mまで登ると傾斜がぐっと落ちて広い平原となり、目の前が一気に開ける。無雪期には地糖が広がっている場所のようだ。
いっしょに登っているお二方はこれまで何度もこの山に登っているそうだが、口を揃えて言うには「景色が違う」。
例年なら木はすべて埋まり、守門のように障害物ひとつない完全な雪原になるそうだ。
10:41 1508m 阿寺山。
展望は見事。これまで北側の八海山は見えていたが、西側の越後駒ヶ岳と中ノ岳も加わり、越後三山そろい踏みで圧巻の姿を見せている。
南側は間近に巻機山など上越国境の山々が望めるが、残念ながら霞がひどく、逆光となる南側はうっすらとしか姿を確認できない。まぁもともと今日はここまでの晴天を期待しておらず、雨・雪やガスでなければいいやぐらいに考えていたので、越後三山がきれいに見えただけで十分だ。
11:10 滑降開始。
まずは木の少ない緩斜面。勾配はゆるやかだが、雪が良いので景観を楽しみながら快適に滑っていける。
そしてブナの疎林帯。これはもう文句なしに面白い。ラッセルの甲斐があったというもので、フカフカパウダーのツリーランを思う存分に楽しむ。
1350mからは往路の尾根を外れ、北西のジャバミ沢に向かって滑る。雪が少ないので尾根ルートのほうが無難かとも思ったが、山頂で出会った人が2月始めにジャバミ沢を滑ったそうで、いちおう沢は埋まっているらしい。先に滑っていた方のシュプールも残っていたので、自分もこちらを滑ることにする。
往路の尾根はところどころ狭いところもあったが、こちらは広い斜面を自由に滑ることができる。引き続き新雪のツリーランを堪能する。
770mでジャバミ沢の沢底へ。沢は部分的に割れている箇所もあるが、ほぼ埋まっていて問題なく滑ることができる。
ただ凹凸は埋まりきっておらず、また、日当たりの良い場所はすでに雪が腐っている。これまでのように快適にとはいかない。
広堀川合流の手前でジャバミ沢の滑降は終了。あとは左岸尾根を巻いて道路まで戻る。基本的には下りなのでシールを付ける必要はないが、木が邪魔だったりして思い通りには進めない。ところどころ階段登行しながら往路の道路を目指す。
12:03 526m 登りルートに合流。あとは主にトレース上を滑り、駐車地点まで2.5kmの道のりもあっという間だ。
それにしても実にいい山だった。降雪後でも比較的安全にツリーランを楽しめるし、スケールも手頃。六日町の街中からも近いし、確かに厳冬期にもってこいだ。むしろ標高が低いので、西斜面とはいえ厳冬期じゃないとすぐに雪が腐ってしまうかもしれない。
少雪ゆえ例年に比べはるかにコンディションは悪かったはずだが、それでも十分に楽しむことができた。今後は定番の山になるだろう。
(2016/2/27)
評価の高い温泉なので巻機山の帰りに多少寄り道してでも行ってみたいと思っていたところ、今シーズン初めて知った阿寺山の近くだったので、これ幸いと寄ってみた。
有名なのは混浴の岩風呂・露天風呂で、その点ちょっと気を遣いそうだったが、岩風呂は男性用/女性用とで浴槽の半分が岩で仕切られており、入りやすいよう工夫されている。
この日は女性客がおらず、露天風呂のほうも気兼ねせずにゆっくり入浴することができた。
なにより泉質が良く、コストパフォーマンスも高い。旅館の立ち寄り湯の場合は外来入浴時間が短いところも多いが、ここは10:00~20:00までと下山が遅くなっても十分間に合う。なかなかいい温泉だ。
(2017/3/25)
一気に500円→700円に値上がりしていた。
温泉自体は良いが、お得感はなくなったので評価も5→4