※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
十石山下山後は安房トンネルを越えて飛騨側に移動し、本日は同じ乗鞍山系の猫岳へ。この辺りの山に登るのは始めてのこと。特に猫岳は滑降記録をよく見かけるので一度滑ってみたかったのだが、安房トンネルの向こうとなるとさすがに遠く、なかなか登る機会がなかったのだ。
若干の懸念は天気。昨日の十石山は快晴だったが、猫岳登山口のある飛騨側は厚い雲海に覆われていた。今日も似たような天気になりそうで、実際、登山口の辺りは深いガスに覆われている。とはいえ上部は晴れているはずなので、それなりに楽しむことはできるだろう。
R158沿い、久手牧場向かいの広い路側帯に車を止める。他には昨晩から止まっている車が1台だけ(登山者ではないっぽい)。結局この日はもう1台あとからやって来ただけだった。今日がたまたまなのかもしれないが、思ったより人は少ない。
6:18 1386m 久手牧場看板前。
牧場内は軽車道が通っているが、その通りに歩くとだいぶ迂回することになる。なのでこの時期はショートカットする人が多いらしい。しかし見たところ道路上はしっかり雪が残っているのに対し、その周りはだいぶ雪が溶けている。どちらを歩こうか迷ったが、登りならばなんとかなるだろうと、結局はショートカットを選択。結果的にちょっだけ板を外す必要はあったが、おおむねシールで登ることができた。
しかし1500mくらいから上は完全に雪がなくなり、標高差60mほどを板を持って登ることになる。幸いこのルートは登山道のような踏み跡があり、ヤブ漕ぎせずに歩くことができる。
6:50 1560m 牧場ゲート。
ここで再び軽車道に合流。この先はしっかり雪がつながるようになる。
そのまま尾根上の軽車道を登っていくと、やがて牧場らしき切り開かれた斜面に入る。全般的に緩やかで、木もないので登りやすい。
1685mで牧場終点。そのまま正面の尾根を登らなければならないのだが、間違ってトレースの付いた軽車道に入り込んでしまい、若干時間をロスする。後でわかったが、これは下から延びている(ショートカットしてきた)道路だった。
ここからは樹林帯の登り。樹間はそこそこ広いので登りやすい。若干笹薮が出ているものの、邪魔になるほどでもない。
やがて乗鞍スカイラインに合流。最初の目標の夫婦松駐車場はもうすぐそこだ。
7:59 1944m 夫婦松駐車場。
一帯は目標物の少ない雪原となっており、ガスでほとんど何も見えない。樹林帯を歩いている時はさほど気にならなかったが、このように広い場所に出ると視界の悪さが気になる。森林限界上に出る前に晴れればいいのだが。
ここからは乗鞍スカイラインの南側の尾根を登る。蛇行するスカイラインの南側をショートカットする形で、この先、都合4回ほどスカイラインのカーブの端に合流することになる。そのたびに道路上まで法面を登る必要があり、わずかな高度差ながらもちょっと鬱陶しい。
尾根上は少々木が濃い。しかし昨日の十石山と同様にほとんどヤブが出ていないので、普通の雪質なら問題なく滑れるだろう。ただし今日は気温が下がってクラストしている。果たして軽快に滑れるかどうか。
2228点のカーブまで登ったところで雲の上に出て一気に晴れ上がる。思ったより早かった。
ここから次のカーブまでは疎林帯の素晴らしい斜面。視界が開け、雲海に浮かぶ北アルプス南部の山々が見えるようになる。そして西には白山の姿。昨日の十石山からの展望も素晴らしかったが、ここからはさらに格別。晴れるのを信じて登ってきて良かった。
9:10 2285m 大崩山分岐。
ここが乗鞍スカイラインとの最後の合流点。スカイラインはこの先しばらく直線となり、その先に猫岳が見えるようになる。
猫岳へはこのままスカイライン経由で登ったほうが早そうだが、せっかくなので登りは大崩山経由。道路を渡り、大崩山に続く尾根に取り付く。
ここからはまた深い樹林帯。尾根は細く、クラストしているのでシールでは登りにくい。
大崩山が近づくと再び展望が開け、疎林帯の素晴らしい斜面となる。ルートからは外れているが、いつかこの斜面も滑ってみたいものだ。
10:00 2521m 大崩山。
東側は深い谷になっており、すぐ足下から雲海が広がっている。
そしてその先には笠ヶ岳や槍ヶ岳、穂高岳等々北ア南部の山々が。これは素晴らしい。これまでそれなりに山に登ってきているが、これだけの風景はなかなかお目にかかれない。大崩山を経由してきた甲斐があった。
南側は乗鞍の山々。左前方に岩でゴツゴツした四ッ岳、右には真っ白でなだらかな猫岳が続いている。その間には剣ヶ峰など乗鞍中心部の山々。こちらの展望もなかなかだ。
展望を楽しんだら広いコルを経て猫岳へ。
見た目はまだ結構ありそうだが、コルからの標高差は100mもなく、割りとあっさり登れる。
10:21 2579m 猫岳。
山頂は広々としていて、もちろん眺望も良い。風も弱いのでゆっくり休憩し、雲海に浮かぶ北アや、間近に迫る乗鞍中心部の山々を眺めながら昼食をとる。
10:49 滑降開始。
まずは北西の乗鞍スカイラインまで標高差200m強のオープンバーンを滑る。
雪は固いが、荒れてないのでゲレンデのようなもの。正面の笠ヶ岳・穂高に向かって楽しく滑り降りる。
2366mで乗鞍スカイラインに合流。ここから最初のカーブまで道路上を滑る。
トレースは多数。ジェットコースターのようにぐんぐん滑っていけるが、溝が深く、それがそのまま凍っているのでガタガタする。段差に引っかかると吹っ飛びそうでちょっと怖い。
2283mで道路を離れて往路の尾根へ。そのままスカイライン上を滑り続けることもできるが、山スキーヤーとしてはやはり自然の中を滑らねば。
上部は立木の少ない斜面なんかもあるが、日当たりの良い場所はひどいモナカ雪でうまいこと滑れない。樹林帯も同様で、細かいコントロールが難しい。なぜあんなに道路を滑る人が多いか不思議だったが、これなら頷ける。大袈裟なツーステップターンをかましながらゆっくり滑るしかない。
11:44 1958m 夫婦松駐車場。
ここでいったん平原へ。下部を覆っていたガスもだいぶ晴れ、振り返ると乗鞍の山々が美しい。
そして再び樹林帯。上部に比べ樹間が広く、雪質的にもだいぶ滑りやすくなる。
1690mで牧場、そして軽車道に入ってからはさらに快適で、狭い尾根でもどんどん滑っていける。
12:16-12:22 1560m 牧場ゲート。
ここでいったん滑降は終了。このまま軽車道上を滑り続けることも可能だが、どこで雪が途切れるかわからない。なにしろこの先はだいぶ大回りしているので、雪がないと相当無駄な距離を歩く羽目になる。ここは素直に板を背負い、往路で使った登山道(?)を下ることにしよう。ぬかるんでいてブーツが泥だらけになるのは悲しいが、たいした距離ではない。
標高差60mほど下ったところで再び雪がつながるようになるので、そこで再びスキーを装着。
以降、ちょっとだけ雪が切れている箇所はあるが、それ以外はずっと滑降可能。往路のショートカットコースは使わず、そのまま軽車道を滑ってあっという間に駐車地点にたどり着いた。
(2016/3/21)
「1日のんびり過ごせる温泉リゾート」を標榜している平湯の巨大温泉施設。
夏休みや連休にしか来たことがないせいか、いつも人が多く、特に駐車場は空きを探すのもたいへんというイメージがある。
しかし中は素晴らしい。男性用の露天風呂だけでも湯船が7つもあり、源泉掛け流しの泉質も良い。木造で薄暗い内風呂も非常に落ち着く。脱衣所と浴室の間に体拭き専用の通り間があるなど、作りの上でもいろいろ工夫が凝らされている。
それでこの値段。人の多さはネックだが、この手の温泉施設の中では一番好きかも。