※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
これまたお馴染みの妙高・三田原山ルート。今年はこれまで行ったことのないお手軽有名ルートを洗い直しているのだが、この山などはその最たるものではないだろうか。標高差500m足らず、1時間半の登りで標高差1100mもの快適な滑降が約束されており(更にスキー場を500m近く滑り降りる)、まさに私のような怠け者テレマーカーにはうってつけのコースである。
東京からは多少距離があるが、高速からのアクセスが良いので道路状況によっては松戸から3時間で着いてしまい、十分日帰り圏内である。今週末は1日しか休みがとれないが、天気予報で上越方面が晴れとなれば、これはもう行くしかないでしょう。
さて、晴れ続きの3月中旬のこの日、残念ながら雪質は最悪だった。樹間の開けた南斜面とだけあって、カリカリのクラストバーンからグチャグチャの腐れ雪まで、ありとあらゆる悪雪のオンパレード。「パウダーの中を舞うように」とか「ザラメ雪をかっ飛ばして」なんて理想の状態には程遠い。
しかし普通であれば雪質によってその山行の面白さが決まることが多いのだが、この山に限ってはそれだけでは評価できない面白さがある。なによりさほどの苦労もせずにこれだけの標高差を滑れるというのは他の山では考えられないことで、まさに人気ルートたるゆえんである。
下山地点は杉野沢の林道沿いになるのでそちら方面の駐車場に車を止めれば帰りが楽になるのだろうが、よくわからないのでスキー場ゴンドラ側の一般的な無料駐車場に止める。ただしその場合は、滑り終えてから駐車場に戻るためさらに1本別のリフトに乗る必要がある。
駐車場から登山口の第3リフトトップまではゴンドラ1本と高速リフト1本で締めて1500円。帰りのリフトが300円。
第3リフトトップに着くと、驚くほど多くの山スキーヤーやボーダー達が入山準備をしている(P1)。団体に囲まれないよう私も急いでシールを付け、さっさと登り始める。
登り始めてすぐ顕著な沢をトラバースする(P3)。ここは積雪後であれば雪崩に注意する必要があろう。
沢を抜けたら後は単純な登り。先行して3パーティーほどの集団がいたが、沢の向こうは広い斜面でどこを登ってもよく、かつ雪も適度に締まり先行者のラッセル跡を使う必要もないため、トレースが重ならない。スタート時あれほどいた集団が、もはやバラけて視界に入らなくなり、後先を気にすることなく自分のペースで登ることができる。
それはいいのだが、シールが全然効かなく一苦労。定評のあるG3のシールなのだが、個人的にはシーズン当初からグリップ力に疑問を感じており、特に今日の雪質、斜度ではてんで歯が立たない。コールテックスのシールなら軽く直登できるような斜面なのだが……。どうにもならんのでシートラーゲンに切り替える。先行者の跡はないが、適度に締まった雪質なので特に問題はない。
シートラーゲンにしてからはどんどん高度を稼ぐ。途中斜度が緩くなったと感じシール登行に戻してみるが、やっぱダメダメ。再びシートラーゲンで登る。上部はそこそこ堅いが蹴りこめばつま先は刺さるので、本日の雪質であればアイゼンなしでも問題はない。
11:30 外輪山である稜線上に到着。始めからシートラーゲンであればもっと早く着いていただろう。
三田原山はもうちょっと先だが、特に行く意味はないのでここから滑り降りることにする。
12:40 滑降開始。
基本的に広い斜面のどこを滑っても大丈夫なところがうれしい(ただし滑り出しがちょっと西より過ぎた。基本的にP11に見える沢の東側を滑ったほうが良い)。
風が強く、上部はカリカリにクラスト。と思うと急にフカフカの雪が混ざったりしているので、エッジを思い切り効かせて滑っていると、突如フカフカ雪にはまって変な転び方をすることになる。
ダケカンバの疎林を過ぎ、ブナ林の中に入るとさすがに雪もマシになる。が、快適な雪質は一部だけで、クラスト~もなか~柔らか雪が交じり合い、自由自在にターンを決めるという訳にはいかない。中間部から下は重い腐れ雪。しっかりワックスは塗ってきたのだが、それでも板が滑らない。
雪質はイマイチだが、斜面的にはすばらしい。会津駒ヶ岳の中腹といった感じだが、こちらは広い斜面を自由に滑ることができる。
途中、気持ちの良いブナ林の中でゆっくり昼食。
さらに進むと再び傾斜がきつくなる場所があるが(P14)、この辺り、あるガイドブックには「ブッシュが濃い。右側に逃げる」とある。さほどでもなさそうだったのでそのまま直進するが、この腐れ雪では自由にターンすることなどできず、ちょいと苦労する。
最後はカラマツの緩斜面。雪は重いが、先行者のトレースを見つけ、その上を滑る。本当はこの辺りから南東に向かい、できるだけ先で林道に合流するつもりだったのだが、トレースの上でないとなかなか滑らないので仕方ない。トレースに乗って滑っていくと、あっという間に林道に合流。
林道上は縦横無尽にトレースが付いており、引っかかることなく快適に進むことができる。早い位置で林道に出たのは結果的に正解と言えよう。ほとんど突っ立ったままドンドン林道を下っていくと、あっという間にスキー場に着く。中間部に着くのだが、私の知る限り標高差の最もあるスキー場のこと、下までまだ結構ある。ピステされたゲレンデ滑りが大嫌い(というより疲れる)な私であるが、幸いこの日は雪が柔らかく、さほど疲れを覚えることなく下まで滑ることができた。
面倒なことに、このあと駐車場まで戻るために杉ノ原第1リフトで別方向へ行く必要がある。ちなみにチケットはこのリフト乗り場でも買えるので事前に購入しておかなくても大丈夫。長くて遅いリフトなので、ちょっとうんざり。
(2004/3/14)
こぢんまりとした清潔な風呂であるが、スキー場のすぐ近くにあるということで冬はキャパシティ的に厳しそうだ。
14時頃行ったこの日はまあ許せるほどだったが、それでも洗い場がいっぱいで待たされた(以前平日に行ったときはガラ空きで、好印象を持ったのを覚えているのだが……)。
450円で貸しタオル付き。ロッカーも100円を入れることなくキーが掛かる(たいがい返金されるが、面倒なのでそういうロッカーはきらい)。
内湯しかないが、余計な設備はいらん派の私としてはこれで十分。