※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
さて今週末はどこに行こうかとヤマレコの山行記録を漁っていると、粟立山という聞き覚えのない山が掲載されていた。写真を見る限り、なかなか魅力的だ。
場所を調べると、ARAIスキー場のあった大毛無山のすぐ隣。馴染みのキトキト寿司から5Km程度しか離れていない。これはもう行くしかないでしょう。半分は寿司目当てだ。
天気予報は晴れ。しかし朝早く新井に着くと、あろうことか雨が振っている。晴れるはずだと信じて道の駅でしばし仮眠するが、8時になっても雨は止まず、これ以上待っても仕方ないと登山口へ向かう。
過去の記録を読むと車は最終除雪地点に路駐するようだったが、行ってみると登山口付近に公園ができており、立派な駐車場もある。
駐車場は半ば除雪され10数台分のスペースが確保されているが、予想だにしなかったことにほぼ満杯。ギリギリ隅っこに停めることができた。地元民には恰好の山なのか、結構な人気のようだ。
8:45 265m 出発。
まずは万内川右岸の緩やかな勾配の平原を登る。この辺りも公園の一角なのか、やけに広々としている。
平原を過ぎてからもそのまましばらく万内川沿いを歩く。この辺りは小沢が錯綜して細かいアップダウンがあり、多少ルートがわかりづらいが、基本的にこの谷の中であればどこを歩いてもいいはず。
9:20 435m 日陰沢を渡ったところで左にまがり、日陰沢左岸の尾根に取り付く。
緩やかな尾根を20分ほど登ると高度差100mほどの急斜面が現れる。先行者は苦労してシール斜登行で登っているが、雪は締まっているので担いだほうが早い。
9:57 665m 急斜面を登り切ったところで再びシール登行。ここからしばらくは程よい勾配の尾根歩きが続く。
雨はほとんど気にならないほど止んできたが、登るにつれガスは濃くなってくる。初めての山で視界が悪いというのはちょっと心許ない。
10:16 800m この辺りから傾斜は緩く、尾根も広く不明瞭になってくる。GPSを確認しつつ、先行者のトレース通りに進む。
10:44 937m ここで数メートル下って南葉林道を横断。この林道は、粟立山と大毛無山の間の標高1100mの峠を越えて名立に至るという恐るべきもので、車のない時代ならともかく、こんな豪雪地帯の山中に作って誰が使うのだろう、維持できるのかと正直に思ってしまう。
ちなみに後日調べると、「廃道と化した最強最悪な林道」というキャッチコピーのもと紹介されていた。さもありなんだ。
11:01 1076m 尾根右側の無名沢源頭。
滑降ルートの第1候補が流浜谷の南側に位置するこの無名沢であり、帰りはここから沢にドロップすることになる。
しかしこの辺りは無木立で、重い乳白色のガスに包まれ何も見えない。ちょうど先行パーティーが滑り降りようとしているところだが(数メートルまで近づいてやっと気づいた)、この視界ではさすがに躊躇している。それはまあそうだろう。しかし彼らがここを滑るのであれば、シュプールを当てにできるのでありがたい。
ここから北東尾根に出るまで最後の急斜面。過去の記録ではこの上に雪庇が張り出しているはずだが、もはや安全なルートも効率的なルートもわからず、ともかく上に登ることしかできない。
11:10 1132m 北東尾根。
後は山頂まで、ほとんど傾斜のない尾根を400mほど歩くだけ。ただし尾根は細く、左は雪庇になっているようなので近寄らないよう注意する。ところどころ今にも崩壊しそうな割れ目も見える。右斜面に木が生えていて、目印になるのが救い。
山頂近くの木にはなぜかたくさんの鳩がとまっており、寒さに縮こまるように身を寄せ合っている。なぜこんなところに鳩が? 登山者の食事のこぼれかす狙いであろうか。ともかく不思議な光景だ。
11:24 1183m 粟立山山頂。
山頂は狭く、数人のパーティーが休憩中で、腰を落ち着けられるような場所はない。立ったまま間食をとり、さっそく滑降準備にかかる。
コンディションしだいで北東の紫雲谷を滑ろうと考えていたが、真っ白で何も見えず。こちらのコースは途中で北東にトラバースし、北尾根のコルを越えて流浜谷に向かう必要があるのだが、この視界ではそんなピンポイントのルート取りができそうにない。先ほどの無名沢を滑ることにする。
11:24 1183m 滑降開始。
往路通りに狭い尾根上をしばし滑り、途中で南斜面にドロップ。無木立で快適な斜面のはずだが、とにかく何も見えないので、トレースを見失わないよう慎重に滑る。
11:43 1072m 無名沢源頭。
ここで登りルートと別れ、真っ白で何も見えない沢に突っ込む。
先ほどの先行者のシュプールは見当たらず。ずっと沢の中を滑るだけなので迷うことはないが、地図では現れないちっちゃな崖などがあるかもしれず、油断はできない。
完全なホワイトアウトで上下の感覚さえなくなっている中、ワンターンずつ確実に停止し、慎重に高度を下げていく。
しばらく滑ると、うっすらとだがやっと木々見えるようになる。こうなればなんとかなる。相変わらずガスは濃いが、見え隠れする木々を頼りに滑っていく。
下るにしたがってガスはどんどん薄れ、滑るのに困らないくらいになる。が、反比例して雪も重くなる。セミファット板なら問題ないレベルだが、この軽量細板ではちょっと疲れる。
それでも沢は十分広く、斜面自体はゲレンデのように滑りやすい。これまでの鬱憤を晴らすかのように飛ばしまくる。
12:08 509m 万内川河畔に合流。
本格的な滑降はこれで終了だ。あとは広い河畔を滑って戻る。
往路の尾根分岐点まではほとんど傾斜がなく時折ストック推進が必要だが、その後はそこそこ傾斜が出て、意外と楽しく滑ることができる。
そして最後の広く緩やかなスロープ。いくつかの山行記録で「テレマーク向き」と書かれているのを目にしたが、別に無木立の広い緩斜面がテレマーク向きということもあるまい。
それはともかく駐車場までのんびり滑って終了。あとはキトキト寿司が待っている。