※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
今週末は都合により日曜のみ可。翌日の仕事に差し支えないよう早く帰りたいので、アクセスの良い武尊山に行くことにした。
滑走コースは西俣沢。普通この沢を滑る場合は逢瀬橋が起点となるが、行程は長く、登りだけでも5時間近くかかる。あまり気軽に登れるコースではない。しかし今回はダマも来るので車を2台使用できる。1台を下山口の逢瀬橋にデポし、オグナほたかスキー場から登ればそれほど時間はかからないはずだ。
ただ、雪質はあまり良くなさそう。金曜の武尊山はいちおう雪の予報だったのだが、実際には雨だったようで、その後冷え込んで土曜はけっこうカチカチだったらしい。しかし逆に雪崩の心配はなさそうなので、皆を連れて行くには良いコンディションといえるかもしれない。
オグナほたかスキー場の営業は8時30分から。先月来た時はファーストトラック券というのがあり、第2・第7リフトだけなら朝7時から利用できた。しかしこのサービスは2月で終了しており、通常営業のリフトを使うことになる。今回のようなロングコースでこそ利用したいサービスなのに、ちょっと残念だ。
9:18 1802m オグナほたかスキー場トップ。
出だしの斜面は日当たりが悪く、この時間は雪がまだカチカチ。シールが滑りまくって苦労する。おまけに今日は朝から片頭痛がし、ゆっくり休みながらじゃないと登れない。
それでもちょっと登ると日なたに入り、多少は登りやすくなる。片頭痛のほうも、事前に専用薬を飲んていたのでほどなく治まるだろう。
9:57-10:03 2038m 前武尊山。
急登はここまで。荒砥沢を滑る場合はここでシールを外すが、今日はシールのままコルまで下る。コルまでは狭い稜線で、シールがあろうがなかろうが下るのにちょっと苦労する。
コルからは川場剣ヶ峰の東斜面をトラバース。この斜面は雪崩の起きやすいところで、実際、過去に死亡事故も起きている。今日はその心配はなさそうだが、雪がカリカリで歩きにくい。板を雪面に叩きつけ、エッジを食い込ませながら歩く必要がある。それでも雪崩に怯えて歩くのよりはるかにマシだ。
ただ、ダマはこの手のトラバースが苦手なようで、けっこう時間がかかっている。地形的にはこの先のほうが厄介なので、ちょっと心配だ。
10:25-10:35 2003m 家ノ串山-前武尊山コル。
ここからは稜線上をたどるのが一般的(なはず)だが、前回同様、西斜面をトラバースすることにする。この方が稜線上を歩くよりはるかに早い。
ただ、トラバースはこれまで以上にイヤらしい。雪崩の心配がないのは何よりだが、予想以上にカチカチなので滑落が怖い。特に家ノ串山南西尾根を越えるところが核心。傾斜は特に急ということもないのだが、川場谷は遥か下まで無木立の急斜面が続くので、一度滑ったら止めるのが難しそうなのだ。
ダマはやはり手間取っている。恐怖心が勝って足が進まなくなっているのだろう。これなら稜線上をアイゼンで歩いた方が早かったかもしれない。今日の雪なら極端に潜ることもなかっただろう。
家ノ串山の北西側までくると傾斜は落ち着き、滑落の懸念は少なくなる。しかしこちら側はツルツルに氷化していて、シールがあまり利かない。ほとんどエッジが頼りだ。先月来た時はこのまま武尊山の直前までトラバースを続けたが、今日はこの辺りで稜線に登ってしまったほうが良さそうだ。
しかしその登り斜面がさらにツルツル。ピエールは比較的スムーズに登っていくが、自分は滑りまくってろくに登れない。たいした傾斜じゃないのに緩い角度でジグザグ登行し、場所によっては階段登行でエッジを食い込ませながらなんとか登る。これなら早めに見切りをつけてアイゼンに切り替えるべきだった。
11:23-11:45 中ノ岳南西2089m。
稜線のすぐ下がちょっとした平坦地になっており、ここで遅れているダマを待つ。
ダマは結局シール登行を諦め、アイゼンで登ってきた。
稜線上は狭くて急傾斜のところもあるので、我々もここでシートラーゲンに切り替える。氷化はしてなさそうなのでアイゼンは省略。武尊山~中ノ岳間は川場からの多くの登山者が歩いているだろうから、ツボ足でも楽に登れるだろう。
12:00-12:10 2157m 武尊山。
30分ほど前までは雲ひとつない快晴だったが、この時間はガスが上がってきてしまった。2人には素晴らしい眺望を楽しんでもらえると思っていたのにちょっと残念。もっとも2人とも眺望には興味がなさそうだが……。
山頂は引っ切りなしに川場からの登山者がやってくるので落ち着かない。風も強いので、昼食はドロップポイントの中ノ岳分岐でとることにする。
中ノ岳分岐まではシールのまま進む。シールだとコルまでの下りが滑りづらくなるが、その先は登り返しになる。わざわざシールを外すまでもないだろう。
ちなみに後続のスキーヤーはシールを外し(もともと川場谷を途中まで滑ろうと思っていたそうだ)、中ノ岳南斜面のトラバースもシールなしで歩いてきた。確かにこのトラバースは上り勾配ではあるが、標高差は数メートルしかない。今日のような固い雪ならシールを外すのもありかもしれない。
12:27-12:49 2107m 中ノ岳分岐。
昼休憩後、シールを外して西俣沢にドロップ。
稜線直下はカリカリだが、さほど傾斜は強くない。この程度なら難なく滑れそうだ。
――と思いきや、エッジが利かずに転倒。なかなか止められずに落ちていく。この程度の傾斜でこれではシャレにならない。これから傾斜はきつくなっていくので、転ばないよう慎重に滑らないと。
それでも標高差50mほど下るとフィルムクラスト状になり、楽しく滑れるようになる。ピエール、ダマも初めは手こずっていたが、やがて慣れたのか、順調に滑ってくる。
この中ノ岳側の斜面は1950m辺りからノド状に狭まって急傾斜になるため、その前に家ノ串側にトラバース。こちらは広々とした疎林帯になっており、日も当たらないのでフカフカの雪質を保っていることが多い。
しかし今日に限ってはこちら側に移動したのは失敗。日の当たる中ノ岳側は多少雪が緩んでいたのに対し、こちらはカリカリに氷化したままだったのだ。
それでもモナカ雪に比べればマシだろうと勢いよく滑り始めたところ、やはりエッジが利かずに転倒。さいわい転倒姿勢が良くてエッジでなんとか制動をかけられたが、それでもけっこう滑り落ちてしまった。
こりゃいかんと再び日の当たるほうに移動。しばらくの間、凍っていない場所を探して右に左に移動するだけになってしまった。
それでも1900m辺りからは傾斜が落ち着き、日当たりも良くなる。雪も多少は緩んでいるので楽しく快適に滑れるようになる。
1750mを過ぎると谷が狭まり、狭隘な沢底を滑ることになる。ところどころ足を取られるような湿雪は出てきたものの、全般的にはクリーミーで滑りやすい雪質。昨年ベチャベチャの腐れ雪に苦しめられたのとは大違いだ。
コース的には曲がりくねった狭い沢底を振り子のように滑っていくだけだが、十分に楽しむことができた。
13:25-13:32 西俣沢1518m。
西俣沢の滑走はひとまずここで終了。予定ではもう少し沢底を滑るつもりだったが、この先は沢割れがあり、さらに右岸は切れ落ちていて雪が付いていないところもある。ここで沢を出てしまったほうがよいだろう。
というか実際はちょっと下りすぎていて、すでにもう右岸は急過ぎてシールでは登れない。戻るのも面倒なので、板を担いで標高差30mほどの急斜面をツボ足で強引に登る。
傾斜が落ち着いたところでシールに切り替え、標高を保ったままオス沢目指して右岸をトラバース。途中で小沢を巻いたら、滑走ポイントの支尾根はもう目の前だ。
しかし問題だったのがここから。わずかな距離ながら急斜面を横切る必要があり、この斜面がいまだカチカチに凍っていたのだ。これはもう午前中に苦労した家ノ串の南西斜面どころではない。実際ピエールはスリップし、たまたますぐ下にあった木にぶら下がって事なきを得た。
自分は先に脱出して安全地帯の支尾根で待ったが(2人ともいったん下って別の斜面からこの支尾根に登り返すものと思った)、なかなかやって来ず、様子を見に引き返すと、結局2人ともアイゼンで歩いてきた。逆によくぞあんな斜面でアイゼンに換装できたものだ。話を聞くと相当厳しかったらしいが。
ともかく先頭を歩いていた自分が無駄に標高を下げるのを良しとせず、強引にトラバースを続けたのが間違いだった。早い時点でいったん下まで降ってしまい、もっと傾斜の緩い斜面から登り直すべきだったのだろう。
14:09-14:49 オス沢左岸尾根1504m。
ここから最後の滑走。あとはもう手間取るような場所はなく、すんなり逢瀬橋まで滑れるはずだ。
まずはオス沢を滑走。この辺りは適度な樹間のカラマツ林で、雪も緩んでいるので普通に滑れる。滑りにくそうな沢底を避けて右斜面をトラバース気味に下っていくだけになるが、これはこれで春スキーっぽくて悪くない。
15:04 1233m 西俣沢出合。
通常はここで西俣沢対岸(左岸)の林道に出る。しかし周辺にはすでにスノーブリッジがなく、濡れずに渡渉できそうにない。
地図上はちょっと上流に橋が記載されているので逆ハの字で登り返してみたが、それらしきものは見当たらず。やむなく急傾斜の右岸斜面を強引にトラバースする。400mほど先で林道は右岸に移るので、そこまでの辛抱だ。
すぐ下が沢なので油断はできず、ところどころ切り立った斜面などがあって多少の登り返しも必要になる。それでも雪が柔らかいので先ほどのような危うさは感じず、手間はかかったもののなんとか林道に合流できた。
あとはもう林道上をジェットコースターのように滑るだけ――と思いきや、400mほど滑れただけで、その先はなんと除雪されているではないか。逢瀬橋まではまだ1400mほどある。最後にこれはあまりに悲しい。
それでも150mほど歩くと林道脇の山側斜面をスキーで滑れるようになる。ところどころ階段登行は必要になるが、なんとかゴールの150m手前まで滑ることができた。
それにしても1月には西俣沢出合から10分ちょっとで戻れたのに、今日は1時間近く。トータルでは予定より3時間近くオーバーしてやっと下山できた。
想定外の出来事が重なったとはいえ、もう少し何とかならなかったか。イヤ、時間はともかく、もっと安全確実な選択をできなかったか反省しきりだ。
(2017/4/16)
R120から武尊牧場側にちょっと入ったところにある温泉施設。辺りにはいろいろ温泉施設はあれど、尾瀬からの帰り道に「これだ」という温泉が見つからず、試してみることにした。
源泉かけ流しの天然温泉ということだが、アルカリ性単純温泉ということで、泉質の良さを感じるほどでもない。
さほど大きな施設ではないが、露天風呂は心地よかった。
設備の割りに割高感はあるが、「ほっこりの湯」「わたすげの湯」はイマイチで、しかし老神温泉まで行くのは面倒、というようなときには有力な候補になる。