※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
GW前半、といってもただの3連休だが、ダマもピエールも仕事があり3日間休めるのは私だけ。こういう時は人を連れて行くにはためらうような、普段行けないところに行きましょう。
ということで飯豊山石転ビ沢。前から滑りたかったコースなのだが、なにしろ遠い。近くにこれといった山スキーコースがないためGWの遠征の対象にもなりにくく、そうそう行く機会もない。ということで、今回が行くチャンスだ。
面倒なのは梅花皮荘から先、冬季通行止め区間のアプローチ。飯豊山荘まで道路が開通するのは5月中旬以降のようだが、例年ならGWの頃にはほぼ除雪は完了している様子。ならばダメ元で自転車も持っていこう。なにしろ飯豊山荘まで往復10キロ、2時間以上短縮できるのは大きい。
松戸からのアクセスを調べると、いつの間にやら日本海東北道なるものができており、東北道経由より距離は長いが早く着くらしい。高速を降りてから45kmしかない。まったく知らなかっただけに予想外で嬉しい。ということで関越から新潟経由で行くことにする。
飯豊山荘への道路は、通行止めが解除されているどころかまったく除雪されていない。今年はよほど雪が多かったようだ。
自転車は使えないが、始めからシール歩行ができるわけで、アスファルトの上を往復10キロ歩くのよりはマシだろう。しかしすぐに思い違いであることに気づくのだが。
ゲート入口に数台の駐車スペースがあるらしいが、そこも完全に雪の中。橋を渡ってちょっと先にある梅花皮荘横の巨大駐車場に車を停める。
6:13 298m 梅花皮荘発。
先ほどのゲート入口まで板を担いで車道を戻り、分岐点からシール歩行開始。
まだ朝早いが気温は高い。時折風が吹くのだが、それが異様に生暖かくて嫌な感じだ。今のところ快晴だが、天気予報では夕方から崩れてくるとのこと。下山するまで天気が保てばよいが。
道路は玉川右岸に作られ東側が切り立った斜面になっているのだが、歩き出して間もないところで雪崩で埋め尽くされている。
まあこういうこともあろうと土砂の交じったデブリの上を強引にシールで歩くが、デブリはここだけに留まらない。場所によっては大きな塊が山のように積もっており、いちいちそれを越えていく必要がある。これは相当しんどい。
デブリのないところだって、側面から落ちてきた雪が道路上に斜めに積もっているため、終始トラバースを強いられる。デブリほどではないにしろ、長く続くとこれもキツイ。
そのうち平らになるかもしれないとしばらく無理してシールで歩き続けるが、切りがないので途中から板を担ぐ。
今シーズンはこれまで靴擦れを起こすことはなかったのだが、あっという間にくるぶしの下に酷い靴擦れができる。
1時間以上歩いてやっと平らな場所へ。飯豊山荘までは後少し。この先は大丈夫だろう。
7:48 410m 飯豊山荘。
靴を脱いで靴擦れの処置。今さら気休めだ。
飯豊山荘を過ぎしばし歩くと温身平。森林セラピーロードとやらに認定されているブナ林の気分の良い道で、やっと調子がでてくる。
そのまま川に沿って南に向きを変え、梅花皮沢左岸を進む。この辺りはまだまだ河原は広く傾斜も緩い。
8:40 514m 堰堤。
高巻き道なんてないしこれはどうやって越えるのだ? と思いつつも近づいてみると、堰堤の脇に階段があり、そこから登っていけるのであった。
堰堤を越えたら再び河原に降り、シール登行を続ける。
8:58 559m ここで川はS字に折れ曲がる。
河原は狭く、山のようなデブリで埋め尽くされている。これを越えていくのは相当面倒だ。
いったん右岸に渉ってデブリ帯をパスすることもできそうだが、左岸に戻るポイントには今にも崩壊しそうな細いスノーブリッジがあるのみ。
左岸上方に登山道らしきものも見えるが、どうやらもっと手前から高巻き道になっていたようで、今さらあそこまで登るのはちょっと難しい。
どうしようか迷うが、ここは思い切ってスノーブリッジを渉りましょう。
無事に渡り終わって振り返ると、手前から見えていた以上に危うい状態であったことに気付く。帰りは面倒でもデブリの山を越えることにしましょう。
ちなみに例年はこんなにも雪はなく、まだまだ先まで雪渓歩きなどできない様子。なのでどの記録を見ても先ほどの高巻き道を使っている。
これがスキー登山者には厳しい道のようで、ザックに付けたスキー板が木に引っかからないよう終始腰をかがめて歩く必要があるとか、急斜面で道が細く、足を滑らせ滑落しそうになるとか、相当歩きづらいらしい。
今回は残雪が多く飯豊山荘までの車道歩きで苦労したわけだが、代わりにこの高巻き道を歩かずにすんだ。特に下りは飯豊山荘までずっと滑れるわけで、実は飯豊山荘までの苦労を超えるメリットがあったのかもしれない。
S字を越えしばし左岸を歩くと川は完全に雪の下に埋まり、雪渓らしくなってくる。
ここまで前にも後ろにも人の姿はなく、先行者のトレイルが1本残されているのみ。本日のものらしく、下りシュプールは見あたらないのでそのうちどこかで行きあうだろう。
人気ルートだと思っていたのだが、GWはまだ時期が早いということか。確かに自分も、今後は除雪完了前に来ることはないだろう。
9:23 664m 滝沢出合。
通行止めが解除される5月中旬以降になると、この辺りでやっと高巻き道を降りて雪渓に出られるらしい。ここまで高巻き道というのはさすがにイヤだな。
10:09 861m 門内沢出合(正式には石転ビ沢出合)。
この辺りでみぞれ交じりの雨が降り出す。予報よりだいぶ早かった。残念だがしょうがない。これ以上強くならないことを祈る。
石転ビ沢に入ってからもしばらくは傾斜は緩い。ここまで登りらしい登りはなく、ほとんど標高は稼いでいないのだが、飯豊山荘までのデブリ歩きのせいかいい加減疲れた。この辺りでゆっくり休憩しましょう。
その後も梅花皮小屋まで登り通す気力はなく、1時間もしないうちに再び休憩。もちろん疲れたということもあるが、なんだかもう歩くことに飽きてきた。
しかし本石転ビ沢出合付近から傾斜は増してきて、それとともになぜか調子も上がってくる。
ベタ雪のためシールが良く効き、ほとんど直登でグイグイ登れる。見下ろすとけっこうな急斜面なのだが、登っているとほとんどそれを感じない。上部は35度くらいあるが、それほどあるようには感じず、多少斜登行する程度でシールで普通に登っていける。
13:03 1847m 梅花皮小屋着。やっと着きました。
稜線上は風が強くとても寒い。余裕があれば北股岳か梅花皮岳に登ろうとも思っていたが、寒くてその気になれないし、帰りの車道歩きを考えると余計な時間を使いたくない。下山後に温泉に入りたいのだが、日帰り入浴が夕方までの宿も多いのだ。ピークハントより風呂優先である(ちなみに梅花皮荘は19時まで日帰り入浴可能だった)。
先に登っているはずの先行者は見当たらず。本石転ビ沢狙いで梅花皮岳に登っているのか。
13:14 滑降開始。
雪は水分を多分に含んでいるが、適度なザラメで快適に滑れる。無木立の急斜面がずっと下まで続くが、滑落の恐怖を覚えることもなく、勢いよく滑っていける。
本石転ビ沢出合を過ぎた辺りで、登っている時にはなかったシュプールを発見。やはり先行者は本石転ビ沢を滑ったようだ。こちらは本当に急傾斜で、上部は45度くらいある。たとえ今日のような滑りやすい雪でも、自分はちょっと滑る気になれない。
門内沢出合近くまで滑ると斜度は緩くなるが、良く滑る雪質でむしろ上部急斜面よりも楽しい。ところどころ真っ白なストップスノーが交じっているため、滑りやすい雪面を選んで滑る必要はある。
門沢出合、滝沢出合とそのまま雪渓を快適に滑り続け、やがてS字カーブへ。
登る時に渡ったスノーブリッジはいよいよ崩壊寸前。ここは安全に板を担いでデブリの山を越える。
その後はほとんど傾斜のない左岸を滑る。堰堤越えの際は板を担ぐ必要はあるが、それ以外は、ところどころストック漕ぎは必要なものの総じてスムーズに滑ることができる。
14:33 451m 温身平。
ここにだけ深く霧が立ち込め、いかにもブナの森といった感じ。
しかし板は思った以上に滑らない。ほとんど歩くような感じで温身平を抜ける。
14:51 410m 飯豊山荘。
この先の橋を渡ったら、再び恐怖のデブリ車道だ。しばし休憩し残りの食料をたいらげ、無理くり気合いを入れて歩く。
お約束のようにあっという間に往路とは反対側の足に靴擦れができる。
いい加減イヤになったところで対岸にやっと梅花皮荘が見え始める。
実は梅花皮荘の裏から直接この道路に出られる歩行者用の吊り橋があり(来るときは気づかなかった)、ここを渡れば車道を大きくショートカットできる。距離もだいぶ短縮できるが、なによりデブリ帯を少しでもパスできるのがうれしい。
16:25 296m 駐車場着。
そのまま梅花皮荘の風呂へ。とても良い風呂だった。宿としてもキレイだし、機会はなかなかなさそうだが、今度はゆっくり泊まりたいものだ。
(2011/4/30)
とりわけ凝った設備があるわけではないが、風呂はきれいで大きく、とてもいい感じ。
茶色に濁った湯が泉質の良さを感じさせる。
下山後のその足ですぐに入浴できるというのはありがたいことで、かつてない長丁場の登山でボロボロになった体を癒やしてくれた。