2013/03/17 乙妻山

目的地
乙妻山
地域
北信/頸城
日時
2013/03/17
コース
大橋~東尾根~乙妻山~北東斜面~大橋
メンバー
単独
装備
MADSHUS:EPOCH('13)/22 Designs:TeleBulldog, Scarpa:T2('13)
天気
快晴

コースデータ

コースタイム
戸隠大橋[6:50]↑[7:25]林道分岐↑[8:34]佐渡山コル↓[9:00]2297点東尾根取付き↑[11:47]高妻山稜線↑[12:10]乙妻山[12:37]↓[13:28]氷沢川→[13:47]氷沢川1411m地点[14:00]↑[14:47]佐渡山コル↓[15:35]戸隠大橋
山行時間
08:44
実移動時間
07:57
最高高度
2312m
最低高度
1139m
累積標高差(登り)
1710m
累積標高差(下り)
1710m
移動距離
17.34km
平均速度※1
2.18km/h

※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度

グラフ

記事

ここ2~3年の最大の課題であった乙妻山北東斜面。厳冬期、ラッセル前提だと2日間は必要なようだが、雪が落ち着いていれば日帰りも可能なようで、実際多くの記録が残されている。
これまでなかなかいい機会が訪れなかったが、今週は好天が続き、週末もまた快晴の様子。このコース最大の魅力である深雪パウダーは味わえないが、雪は確実にしまっているはずで、楽に登るにはちょうどいい機会だ。

6時半前に戸隠大橋到着。6時前には出立したいと考えていたのだが、いつもの癖で長野市内のデニーズでゆっくり朝食をとっていたら結構な時間になってしまった。
佐渡山や黒姫山へ行くならまだ早い時間なのだが、10台ほどの大橋の駐車スペースはほぼ満杯。最奥の泥だらけのスペースに何とか停める。

06:50 1139m<br />
06:50 1139m
07:05 1183m<br />
07:05 1183m

6:50 1139m 大橋発。
しばらく平坦な林道歩きが続く。
本日は新板、MADSHUS社EPOCHのデビュー。昨年まで使っていた10TH MOUNTAINの後継板で、ビンディングの組み合わせもいっしょ。昨年までの板はチューンナップ業者が匙を投げるほどボロボロになっており、さらにはビンディングも壊れてしまった。とても気に入っていた組み合わせなので、買い替えだ。やはり春はこの組み合わせが楽しいし、今日のようにハードな行程の場合は軽量な板でないと体力が保たない。
さてこの新しいビンディング、元々3ピンながらも踵がさほど上がらないという特徴があるのだが、特に今回は右のブーツの穴とビンがきっちり合わずに先端が浮きあがっているため、踵がさらに上がりづらくなっている。なので特に平地では歩幅が小さくなり、ペースが上がらない。

07:25 1269m<br />
07:25 1269m
07:45 1355m<br />
07:45 1355m
08:30 1584m<br />
08:30 1584m
08:42 1549m<br />
08:42 1549m

7:26 1274m 黒姫山分岐。
佐渡山に向かって左側の林道を進む。
10分ほどで林道を離れ、佐渡山コルに向け小沢の右側を登る。雪はまだ固くシールが利きづらい。
登るにつれ傾斜が増し、ますます登りづらくなる。佐渡山コルはもっと左なのだが、登りやすそうな斜面を求めて右に右へと進み、結局佐渡山山頂へ続く尾根上を登ることになる。

8:23 1574m いつの間にやら佐渡山コルと同じ高度まで登ってしまった。ここからコルに向かって延々と左にトラバース。

8:34 1584m 佐渡山コル着。
いったんシールを外して氷沢川まで滑降。気分の良いブナの疎林帯だが、まだ雪は固く、それほどは楽しめない。
この氷沢川、乙妻山のほうに向かっているのでそちらが上流のような印象を受けるが、実は逆。なので河畔まで滑り降りた後も、乙妻山の登り口に向かってシールなしで歩いていける。まあ滑るほどの傾斜はないが。

08:54 1446m<br />
08:54 1446m
09:18 1524m<br />
09:18 1524m
09:57 1751m<br />
09:57 1751m
10:13 1841m<br />
10:13 1841m

8:59 1449m 高妻山からの沢との合流点。
ルート的にはこの沢の右側の尾根を登るか、もしくはさらに氷沢川河畔を歩いて滑降ルートと同じ北東斜面を登るかのどちらかだが、もうすでに氷沢川河畔を離れ尾根の取り付き近くまで来てしまっている。このまま素直にこの尾根を登ることにしましょう。
傾斜は全般的にきつめだが、日当たりは良いので雪はそれなりに緩んでおり、シール登行でも問題はない。といっても直登は無理で、単調なジグザク歩きが長いこと続く。

10:30 1912点。この辺りは尾根が細く、針葉樹も密生している。尾根上を歩くことはできず、右からトラバース。適当なところで再び尾根に上がり、傾斜のない、休憩に最適な場所で間食をとる。先はまだ長い。これまで気づかなかったが先行パーティーもおり、ここで休憩中。
この先は再び見通しが良くなり、目指す高妻-乙妻間の稜線が一望できるようになる。尾根上はもうほとんど木はない。稜線に向けひたすらジグザグに登っていく。

10:26 1904m<br />
10:26 1904m
11:31 2194m<br />
11:31 2194m
11:44 2260m<br />
11:44 2260m
11:47 2266m<br />
11:47 2266m

11:46 2266m 高妻-乙妻稜線。
やっとここまで着きました。左には高妻山。日本百名山ではあるが、そこまでの稜線上のルートは細く厳しそうだし、そもそも登る気はない。
そしてここまで登ると北アルプスの絶景が。上信越道からアクセスしているため北アルプスは方向違いというイメージがあるが、実は小谷村はもうすぐそこ。なので白馬三山も思いのほか近くに見える。
あとはこの絶景の中、間近に見える乙妻山までのんびり登るのみ。

12:11 2312m 乙妻山。
さえぎるものがなくさすが風が強いが、気温は高い。せっかくなのでここでゆっくり昼休憩にしましょう。

12:45 2228m<br />
12:45 2228m
12:53 2051m<br />
12:53 2051m

12:37 滑降開始。
山頂から直接北東斜面に滑り込むこともできそうだが、途中の様子がわからない。ここは通常通り稜線上を少し戻り、適当なところからドロップすることにしましょう。
登ってきた尾根はそれなりに雪が柔らかくなっていたが、こちらはまだカチカチ。滑るのに困るほどではないが、あまり快適ではない。おろし立てのエポックは前機種の10th Mountainと同様に操作性は良さそうだが、何しろ細身の軽量板なので、このようにスピードが出そうな、傾斜が強く雪の固い無木立大斜面は得意ではないのだ。無難に滑ることはできるが、ストックワークはもうムチャクチャ。よくてダブルストック、たいていは逆ストックになってしまう。

12:56 2000m<br />
12:56 2000m

これではイカンと正しいストックワークを意識して滑ってみるが、何しろ頭でやろうとしているためかえってタイミングがとれない。そして急斜面で転倒。左板のテールが雪面に垂直に突き刺さる。深く突き刺さったのでこのまま逆さにぶら下がった形で止まるだろうと思いきや、勢いがついているので強引にもぎ取られるようにそのまま回転。プラブーツを履いているにも関わらす、足首が悲鳴を上げる。なんだかんだ言ってT2は柔らかいのだ。
足首の心配をする間もなく、滑落は続く。それほど危険性の高い斜面ではないが、加速がつく前に止めないと。20mほどずり落ちたところでなんとか板を下にして止める。
足首はそこそこ痛むが、滑れないほどではない。それでも傾斜の強いところでは、支えきれずに何回か尻餅をつく。せっかくのこの大斜面、雪もだいぶ柔らかくなってきたのに、傾斜の緩い斜面を選んで腰砕けで滑ることになる。

13:08 1812m<br />
13:08 1812m
13:16 1625m<br />
13:16 1625m
13:18 1574m<br />
13:18 1574m
13:26 1428m<br />
13:26 1428m

13:10 1750m この辺りからは斜度が緩くなり、この足でも快適に滑れるようになる。ところどころ白い新雪のストップスノーが混じるものの、全般的にザラメ雪で滑りやすい。
やがて沢も明瞭になってきて、広葉樹林の滑降となる。まだ氷沢川には達していないはずだが、いかにも春の河畔の滑降という感じで気分が良い。そのまま右手の尾根の端をぐるりと廻るような感じで氷沢川河畔へ。

13:28 1394m ゴルジュ帯の急斜面をトラバース。滑降はここまで。先行パーティーはここでシールを付けている。たしかにここから氷沢川の上流に向かって歩くことになるのだが、まだほとんど傾斜はない。ステップソールの自分はそのままシールなしで歩き続ける。
ゴルジュ帯を抜けたら再び広い河畔。歩きやすそうなところを求めて右岸と左岸を行き来する。行き来といってもすでに水流が表出しており、貧弱なスノーブリッジが点在するのみ。渡るときは結構ドキドキ。今後自分は雪崩やひどい滑落にあわずに済むかもしれないが、スノーブリッジが崩れて沢に落ちることはあるんだろうなあ。

13:38 1396m<br />
13:38 1396m
14:19 1459m<br />
14:19 1459m

13:46 1410m 傾斜はまだ緩いが、ちょっとした段差をステップソールでこなすのも疲れてきた。そろそろシールに切り替えましょう。その前に、せっかくポカポカして気分のいいところなのでしばし休憩。
休憩終了後、右岸に渡り、佐渡山コルに向け少しずつ左上に登っていく。体は疲れているが、標高差は150m程度しかないし、登りやすい斜度なので思ったほどの苦労はない。

14:47 1581m 佐渡山コル。後は下るのみ。
下りに使う尾根は狭く、木もそこそこ生えているが、まあ春スキーコースに有りがちな斜面だ。雪は滑りやすいので、ダブルステップターンをせずとも普通に板を回せる。

14:59 1521m<br />
14:59 1521m
15:16 1318m<br />
15:16 1318m

さて、最終的には尾根を下りて左の斜面に移らなければならないのだが、調子よく滑っていくうち、左手にあった沢がだんだんと深くなっていき、やがて雪解け水の逆巻く本格的な沢となる。これでは徒渉できない。
なんとかならないかと辺りを偵察すると、同様に滑りすぎて登り返しているトレースを発見。どうも下りすぎたようだ。
登るときはさらに一本左の尾根を使ったためどの辺りで沢を越えられるか予想付かないが、これは素直に登り返すしかないでしょう。まあそうひどいことはあるまいと、シールを付けずにステップソールのまま登り返す。幸いちょっと上にピンポイントで沢を越えられる箇所があり、20mほど登り返しただけで済んだ。
トレースの多く残る斜面を滑り、すぐに林道に合流。あとはターンもなにもせず突っ立ったままトレースにのって滑っていけるのだが、太股はもう限界。痙りそうになるのをこらえてなんとか大橋に到着する。