※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
春先恒例の平標山ヤカイ沢。ホント恒例過ぎてたまには西ゼンやシッケイ沢でも滑ればいいようなものなのだが、手軽さゆえ結局いつもこのヤカイ沢往復コースになってしまう。
3月末ともなると下部の雪もだいぶ少なくなり、林道まで快適に滑ろうと思ったら例年ならばこれがギリギリ最後の時期となる。ところが今年はどこも残雪が多く、そういう心配はいらなさそうだ。おまけに昨日そこそこ降ったようだし、新雪も味わえるかもしれない。
雪が多すぎて除雪が完全ではないこともあり、登山口の駐車場はもう満杯である。良心の呵責を感じながらも近くの小学校の敷地内に車を止める。こちらもあと30分もすればいっぱいになってしまうだろう。
隣の車のおっさんが「こっちのほうが近いのに、みんな知らないんだよな」などと自慢げに話している。マナーも何もあったもんじゃない。と言いつつもやっていることはいっしょなので、こちらも何も言えないのであるが。
ちなみにこの小学校への入り口は後にロープが張られ、車が入れないようになったようだ。
小学校のすぐ横が登山道に続く私道(P1)なのだが、除雪した雪が積み上げられていて通れそうにない。やむを得ず17号からグルッと回り込んだが、帰りになって奥の方から直接私道に出られることに気づいた。
いつもは除雪最終地点まで板を担いで歩くのだが、昨日までの雪で道路上まだ雪が付いており、最初からシールで歩く。
ヤカイ沢に出たら、あとは標高1350mの枝尾根まで適度な斜面を一直線。
なのだが、しばらく歩くとシールが滑らなくなり、まっすぐ進むことすらできなくなってきた。見るとシールに雪が付きまくり、板の中心部など雪だるま状態になっている。効果のあるBDの撥水スプレーを吹き付けてはきたのだが、今日のシールはかなり古く、かつパフパフの降雪後に気温が高くなるというコンディションのせいでどうしても雪が付きやすくなるのだ。
しばらくはストックで板を叩いて雪を落としながらだましだまし進むが、すぐに雪だるま式にふくれ上がる。あまりにひどいので、ピエールに液状フッ素ワックス(当然板用だ)を借り、シールに吹き付ける。これが絶大な効果を上げ、急斜面では多少滑りやすくなったかもしれないが、以後トラブルもなくすんなりシールを滑らせながら登れるようになった。
標高1350m付近からいつものごとく南東の沢に入り、その後今回は右の尾根にとりつく。心持ち遠回りになるがそのぶん斜度はおちるはずで、スキー用ワックスを塗りたくったシールにはこちらのほうが無難だろう。
稜線に出ると、雪が多くていつもと景色が違う。特に1750m付近は例年であれば岩やブッシュが露出し、切れ落ちた右斜面を慎重に巻いていく必要があるのだが、今年は「いったいどこが危険だったんだろう」と思うくらい普通に登れる。
そのまま尾根上をのんびり進み、11時ちょうど、頂上着。
頂上は大にぎわい。好天の中どのパーティーもゆっくり休憩しているが、我々はいつもの如く手短に食事を済ませさっさと出発。少なくとも登ってきた尾根上を滑るのは本日我々が最初のようだ。
降雪後とはいえ頂上直下はすでにガチガチ。まあこの斜面はメインではないのでさっさと通り過ぎましょう。
山小屋へ続く尾根を左に分け、ちょっと下ると我々がいつも使うヤカイ沢への降り口だ。今年は尾根上も十分雪が付いているので登ってきたコースをそのまま滑っても特に問題はないのだが、さほど広くもない尾根上を滑るよりも、林間のノーシュプールの斜面のほうがよっぽど面白かろう。
尾根の途中からはどこからでもヤカイ沢へ滑り降りることができるのだが、灌木が多い場所が多く、ベストな降り口はかなりピンポイントになる。その地形はしっかり頭にたたき込んでいるつもりでいたが、今年は雪が多く、記憶していた風景と違う。ここかと思い滑り込んでみたが、灌木が多く、ある程度滑っても改善されそうにない。どうも早く降りすぎたようだ。いったん尾根まで戻り、もう一度ポイントを探す。どうもしっくりこないが、この辺だろうというところで再び沢へ。こんどは正解だったようだ。
適度な樹間、ちょっと急だが我々にはちょうど良い斜度、おまけに本日はノーシュプールのきれいな新雪と、これ以上望みようのない斜面が目の前に広がる。
だがしかし……雪が重い。重すぎる。水分をかなり含んでビチャビチャになっている。ピエールもさすがにこの雪では思うようにテレマークターンは決められないようだ。
思いっきりよくテレマークポジションをとると意外となんてことなくターンはできるが、そのかわりビチャビチャの雪を腰までかぶり、ズボンにくっついたままなかなか落ちない。今日は速乾性とはいえ防水でない普通のズボンを履いてきたため、転んでもいないのにビシャビシャになってしまった(P16:滑る間に雪が転げ落ち、2人滑っただけでこんなにグダグダになってしまう)。
標高1350m(P18のすぐ下)で山頂からの大斜面に合流。ここから先はグダグダ雪の緩斜面となり、滑っていて非常に疲れる。例年であればアルペン板のピエールはあっという間に消え去ってしまうところなのだが、テレマーク板の今年はさすがにそうはいかないようだ(というわけでこれまでのレポートでは皆無だったこの先の写真であるが、今年は多い)。
残雪が多いとはいえ雑木の生い茂った下部緩斜面を縫うように滑り、林道に出たら実質的滑りは終了だ。あとは未除雪の林道、除雪された車道の脇をスキーを履いたまま15分ほど半ば歩いて駐車場に戻る。