※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
今週のテーマは「初級者ダマくん強化訓練」。
これまでダマは、スキー場リフトで高度を稼げるお気楽コースしか登ったことがなく、極端にいえばなんちゃってバックカントリーしか体験していない。そろそろスキー場も営業終了する頃だし、すべて自分の足で登る本格的な(?)山スキーを体験してもらおう。
とりあえずターゲットは標高差1000m。そうなると近場の平標山ぐらいがちょうど良さそうだが、先週ピエールは2度もこの山を登っており、今週も、となるとさすがに飽きるだろう。せっかくなので、ダマ以外のメンバーも楽しめる山がいい。
第1候補は巻機山。危険個所はないものの、標高差1200mの長丁場。いきなりだが、まあ強化訓練ということでがんばってみましょうか。
ところがピエールが仕事で参加できなくなり、さらには前日、上信越でかなりの降雪があったらしい。巻機の場合そこまでの道路状況が心配だし、さらにあの山を終始ラッセルで登る羽目なったら、ダマの前に自分が潰れてしまうだろう。
ということで急遽平標山に変更する。ここなら巻機ほど厳しくないし、新雪なら滑りも楽しめる。
昨日までの大雪で駐車場も真っ白。この様子なら上部はかなり積もっていそうだ。先行者はそれほどいないようだし、がんばって歩けばノーシュプールの真っさらな斜面を滑ることができるかもしれない。
が、しばらく歩くと急激に便意を催しはじめる。朝食べたコンビニのスパゲティーが悪かったようだ。ヤカイ沢に入ったところでようやく適当な場所を見つけ、最初の雉子打ち。それだけでは治まらずにちょっと先でもう一度。なかなかすっきりせず、結局30分以上も時間をロス。その間に複数のパーティーに追い抜かされてしまった。
標高1350m、東の小沢に入る辺りから傾斜は強くなり、ここで先行の数パーティーに追いつく。ここからは我々が先頭になり、ラッセル開始。雪は膝下くらいで結構重い。さいわいこの頃には体調も完全に回復していたのでガンガン登る。
稜線に出てからは風で新雪もかなり吹き飛ばされており、ラッセルもだいぶ楽になる。
標高1700m付近、ここからは傾斜的にも雪質的にもシールが効きづらくなる。先週ピエールたちがここで板を担ぎ始めたのに習い、念のためダマも板を脱がせ、ツボ足で歩かせる。キックステップに慣れたピエールや確実にアイゼンをつけたタツさんと違い、冬山未経験のダマは少々危なっかしい。今日の雪ならそのままシール登行のほうが安心だったかもしれない。といってもこの辺りは岩やブッシュが露出しており、シール歩きもしづらいのだが。
50mほど登り、そこを越えてから板をダマに返し、再びみんなでシール登行。
夏道の尾根が合わさり、北に向きを変えると山頂へ続く一面の大斜面が広がる。ここでダマが先行。そのままどんどん先に行く。慌てて後を追うが――お、追いつけない……。
ダマ強化訓練などと言っていたが、技術のいらない緩斜面であれば、一番体力のあるダマには全然かなわないのであった。
11:30 ダマにだいぶ遅れて頂上着。ダマ恐るべし。これなら途中のラッセルもやらせれば良かった。
しばし休憩し、11:50 滑降開始。稜線上はすでにクラストしているが、登りの際に想像していたよりはずっと滑りやすい。ダマも時折いいテレマークターンを決める。
夏道の分岐から先は、稜線上ながらも雪はまだサラサラ感を保っている。これは楽しい。先週の西ゼンとは比べ物にならない。
いつもの通り標高1800m付近で右のヤカイ沢へドロップ。上部はパッキングされた雪と柔らかい雪が入り交じって滑りにくい。そこそこ急傾斜だし、樹間もそう広い訳でもないのでダマには厳しいかもしれない。そう思い、左の登りルートの方へトラバース気味に滑る。そちらの方が斜度は緩いし、樹間も広いからだ。
ここまで下るとクラストした雪はなく、深い新雪の斜面が広がる。さすがにだいぶ柔らかくなっているので、板を取られぬよう先端を浮せ気味に滑る必要はあるが、それでも楽しい。ともかくこの時期にこんなに、というような新雪の量である。
ダマはさすがにこの雪では苦労している。まあ滑りのコツをつかむのはザラメ雪になってからということで……。
標高1350m、ヤカイ沢に出てからは斜度が落ち、雪もますます重くなる。さすがにこうなると板も滑らず、しばしば前につんのめりそうになる。よし、ここで先週威力を発揮した「NOTwax」の出番だ。先週のような締まった湿り雪ほどの絶大な効果は得られないが、それでも圧倒的に滑りやすくなる。手入れを全然していない徳内の板にも塗ってあげると、もちろんヤツもビックリだ。といっても効果はすぐに消える。その度にWAXを塗り直すのは面倒なので、効かなくなったと訴え続ける徳内を無視してそのまま滑り続けることにする。
ラストは先行者のトレース上をジェットコースターの如く滑り、林道まであっという間に戻る。
除雪された車道脇も雪がまだ残っており、そのまま道路を滑って戻ることができた。