※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
快晴が予想されるこの日、これまで登ったことのない南会津の博士山にでも行ってみようかと東北道を北上するが、一般道に降りてから長い雪道を走るのが面倒になり、結局いつもの西吾妻山二十日平コースに変更。新鮮味はないが、青空の下であの素晴らしい樹氷原を歩けるというのはやはり魅力的だ。
この日はかつて見たことないくらいの大盛況。特にこれまであまり目にしたことのないスノーシュー登山者が多いのが新鮮だった。
滑りのほうは、南斜面ということもありさほど雪質には期待していなかったところもあるが、いつもに比べればまずまずのコンディション。西大巓東斜面や1548点からのブナの疎林帯など、なかなか楽しむことができた。
なにより澄み切った快晴の下での樹氷原歩きは最高に気持ちよかったし、とても楽しい山行となった。
9:24 1588m 第3リフトトップ発。このリフトの稼働は9時からで、直後に乗ったため先行者はさほどいないものと思っていた。
が、そんなことはない。トレースは幾筋もあり、途中で登りやすい斜面を求めてトレースを離れても、すぐに別のトレースに突き当たる。
最終的にスノーシューの集団のトレースを借りて登っていく。
ちなみにいつもは1843点辺りから登山道通りに登っているのだが、今日はスノーシューの跡をついていっただけにほぼ直登。シールでは登りにくい急斜面もあり、少々苦労する箇所もあった。いつものように登山道沿いに登った方が楽なようだ。
10:27-10:42 1981m 西大巓。思った以上にたくさんの人がいる。スノーシューの登山者も多い。
第3リフトが予定より早く稼働したのだろうと思っていたが、後日、ヤマレコの投稿を見て気づいた。第4リフトか。バカな話で、完全に盲点だった。
こちらは8時半から稼働しているし、標高も第3リフトとさほど変わらない。登山道からも近いし、かなりの人がこちらから登っていたようだ。
山頂からはいつもながら西吾妻山にかけての大樹氷原が素晴らしい。
南には磐梯山が大きく、その向こうには那須岳や会津駒ヶ岳も見える。そして北西には飯豊山。相変わらず見事な展望だ。
この西大巓の東側には無木立のスキー向けのバーンが広がっている。天気の悪い時にはこのまま北東の尾根を通って西吾妻山に向かうのだが、今日ここを滑らないという手はない。シールを外して東斜面へ滑り込む。
すでに何人かの人が滑った後で、ファーストトラックとはいかないが、面白さに変わりはない。
雪は重めだが、上々の新雪。樹林帯まで高度差は100mちょっとしかないが、実に楽しく滑り降りる。
樹林帯に達したら、西吾妻山に少しでも近づくべく北東へトラバース気味に滑り続ける。
10:51-11:04 1855m あまり下ると先がつらい。滑降はこの辺りまでにしておきましょう。
再びシールを付け西吾妻山へ向けラッセル開始。
だいぶ下ったような気がしたので、結構ラッセルしないと稜線まで戻れないかな、と思っていたのだが、実はそれほどでもなかった。あっけなく10分ほどでトレースの残る稜線上ルートに合流する。
ここからは西吾妻山に向け樹氷原の中の緩やかな登り。珍しく風もなく、歩いていてとても気分が良い。
天気が悪い時は西吾妻小屋に寄って昼食をとることが多いのだが、今日はその必要もない。直接西吾妻山に向かう。
11:42 2032m 西吾妻山。だだっ広くてつかみ所がなく、着いたという感じがあまりしない。
大勢の登山者や山スキーヤーがこの辺りで休憩しているが、ここから滑ってもあまり面白くない。シールのまま二十日平尾根コースの起点となる東南端まで進む。
11:48-12:15 西吾妻山東南端。昼休憩後、滑降開始。
上部はまれに新雪に巡り会えることもあるが、たいがいはシュカブラの発達したクラストバーン。おまけに樹氷も微妙に雪面から出てデコボコしており、滑りにくいことが多い。
が、今日はかなりマシ。多少モナカ気味ではあるが、シュカブラはさほどなく、無難に滑っていける。
雪質はともかく、この広大な風景の中を滑っていけるのは気分の良いものだ。
やがて樹林帯。山頂からトラバース気味に滑ってきた先行者がいて、ここからはシュプールが付いている。
しかしこれが厄介。木の間が狭いため滑るところが重なり、おまけにベタ雪のためジェットコースターコースのようになってしまっているのだ。これではスピードをコントロールできず、自分の実力ではターンも難しい。
しかしすぐに樹間は多少広くなり、どこでも滑っていけるようになる。こうなると楽しい。雪は腐りつつあるが滑るのに問題なし。文字通り木の間を縫うように滑っていく。
標高1600mを過ぎると傾斜はぐっと緩くなる。先行者がいないと下りラッセルになるところだ。幸いちょうどここで再び先行者のトレースを発見できたので、ありがたく利用させてもらう。それでもすんなり滑っていけるほど傾斜はなく、ところどころストック漕ぎや逆ハの字登行が必要だ。
ちなみに先行者のトレースはいつも滑るルートよりだいぶ西向きに延びているが、まあ問題はなかろう。トレースを離れ、自分で下りラッセルしてまでいつものルートに固執する必要はない。
12:55 1544m ここから再び急斜面。この尾根でもっとも楽しいところだ。
が、なんか違う。
本来のルート(1548点辺り)であれば素晴らしいブナの疎林帯が広がるのだが、こちらは深い針葉樹林の急斜面。トレースを追った結果いつもよりちょっと北側に出てしまっていたのだが、斜面の感じが全然違う。これでは面白くない。いつものルートに戻りましょう。
ということで南にひたすらトラバース。
13:03 1512m 本来のルートに合流したら、ここから快適な疎林帯の斜面。多少下生えは出ているが、いつものように楽しく滑り降りる。
途中、1350m付近(どこでもよい)で小沢を越え、二十日平に続く東側の尾根へ。こちらのほうが心持ち雪質が良く、引き続き快適な滑降が続く。
傾斜が落ちてきたら二十日平。すでにたくさんのトレースが付いているためそれに乗って一直線に滑り抜けるが、もともと樹林帯の中のように雪は深くないため、トレースがなくてもどんどん滑っていけるところだ。
右手の小沢が中ノ沢に合流するところで急斜面を滑り降り、中ノ沢を徒渉。雪が多く、まだ沢が割れていないためどこでも渡れる。
右岸に出たら2mほど階段登行。あとは右岸緩斜面をちょっと滑ればゲレンデに合流できる。
ちなみに中ノ沢に下る手前で数名の山スキーヤーに追いついたのだが、1人指示好きのおじさんがいて閉口した。やれ「中ノ沢はここから下れ」だの「ここのほうが徒渉しやすい」だの「そこを真っ直ぐ行けばいいんだよ」だの……。
うるさいなぁ休んでるんだよ先行けよと思いつつも親切心を無碍にはできず、ハイハイと調子よく応じる。記録用に中ノ沢の状況も撮っておきたいところだったが、お陰でその余裕もなく、最後は写真なしだ。
(2010/03/14)
これまでグランデコ周辺では良い日帰り温泉施設を見つけられないでいたが、このホテルの立ち寄り湯は良い。
内湯はろ過をしているため透明の湯だが、露天風呂は茶色。効能はわからないが、なんだか効きそうだし、たとえ効能がなくても入っていて心地よい。
休憩所も清潔感溢れてゆったりできるし、全般的にかなりいい感じだ。
機会があれば風呂だけでなく是非泊まってみたいホテルである。