2015/05/05 鳥海山(湯ノ台口)

目的地
鳥海山
地域
東北中部
日時
2015/05/05
コース
湯ノ台~文殊岳往復
メンバー
ダマ
装備
MADSHUS:EPOCH('13)/22 Designs:TeleBulldog, Scarpa:T2('13)
天気
快晴

コースデータ

コースタイム
鳥海高原青沢線775m[10:00]↑[11:48]滝ノ小屋[11:54]↑[14:23]文珠岳[14:48]↓[15:11]滝ノ小屋[16:00]↓鳥海高原青沢線775m
山行時間
06:00
実移動時間
05:33
最高高度
2011m
最低高度
773m
累積標高差(登り)
1283m
累積標高差(下り)
1281m
移動距離
12.91km
平均速度※1
2.33km/h

※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度

グラフ

記事

東北ツアー2コース目は自分もダマも大好きな鳥海山。
中でも気に入っているのは吹浦口コースだが、今年は七五三掛のトラバース斜面の状態が悪いらしく、最近のヤマレコの記録を読むと、ほとんどの人が千蛇谷を諦めて手前の御浜小屋などから滑り降りている。
これでは面白さは半減どころか、千蛇谷目的の我々にはまったく意味がない。なので吹浦口コースは取りやめ、まだ滑ったことのない湯ノ台口コースへ行くことにする。

スタートは県道368号(鳥海高原青沢線)の最終融雪地点。この時期は除雪が入らないので、自然融雪によりどこまで車で登れるかがポイントとなる。
この日は標高740mで路上に雪が現れる。手前に数台の車が停められており、先行者(昨日から入山していた様子)もここから入山したらしい。
路上の雪は20mほど先で再び切れており、さほど深くないので一見通過できそうだが、無理はしないほうがいい。実際、スタックしたらしきフォレスターが雪上に置き捨てられているのだ。
ということで我々もここから入山。もともと想定していたスタート地点はもっと下だったので、ここからならまぁ悪くはない。

06:52 742m<br />最初の駐車地点
06:52 742m
最初の駐車地点

7:06 742m 出発。しばらく車道を登るが、スタート地点以外路面は完全に乾いており、この先もしばらく雪は出てきそうにない。
このまま雪のない路上を歩き続けるのも悲しい。我々の車なら先ほどの雪道も突破できるのでは?と考え、500mほど歩いたところで引き返す。

で、車でさらに登ろうと試みるが、雪道を突破できずに中ほどでスタック。そもそも自分の車は先日ノーマルタイヤに換えてしまっているのだ。
雪掻き~スタックのトライ&エラーを繰り返して少しずつ前進するが、そのうち簡単には脱出できないくらいはまってしまう。
やがて昨日からの入山者が下山し(置き捨てられたフォレスターの持ち主だった)、さらに新たにやってきた3人組も加わって手伝ってくれるが、それでもなかなか脱出できない。申し訳ないので構わず先に行ってくれと言ったが、律義に最後まで付き合ってくれ、9時半頃にようやく脱出。といっても元の場所に戻っただけだが。
ダマはもう意地になっているので突破を諦めきれず、再度スタックしながらも10時前にようやく雪道を突破できた。
ちなみに車で先に進めたのは800mほど。たいして登れたわけではない。最初あのまま登り続けていれば「心の字雪渓」辺りには達していたはずで、せっかくの早起きも完全に無駄になった。
この時間からスタートして果たしてどこまで登れるものか。

10:08 803m<br />車道を登る
10:08 803m
車道を登る
10:19 836m<br />澄郷沢左岸尾根へ
10:19 836m
澄郷沢左岸尾根へ

10:00 773m 再出発。雪は繋がっているようだが、この先どうなるかわからないので板は背負って歩く。
九十九折りの車道を避けショートカットして樹林帯の中を歩くが、灌木がうるさいので途中から素直に車道上を歩くことにする。

10分ほど歩いたところで車道を離れ、澄郷沢左岸尾根を登る。雪はずっと繋がっていそうだが、まだ灌木が目立つし、ちょっと先に急斜面も控えているため、まだしばらく板は背負ったまま。
急斜面を登りきった910m付近でシール登行に切り替える。

10:46 966m<br />宮様コース
10:46 966m
宮様コース
11:20 1177m<br />森林限界上へ
11:20 1177m
森林限界上へ

ちなみに朝方は雲が多く、山頂付近はガスに覆われていたが、だんだんと回復してきて、この頃には完全に青空が広がる。この点だけはスタートが遅くなって良かった。ただ、風はいまだ強い。

途中、上部に宮様コースの切り開きが確認できたが、実際にそこまで登ってみると伐採の幅は思ったより狭く、下生えもかなり生えてきている。往路では宮様コースを歩いていることに気づかなかったくらいだ。

さらに登り続け、スッキリとしたブナ林に入った辺りで前方に人影を発見。車の脱出を手伝ってくれた3人組だ。ちょうど下山してきた登山者となにやらしゃべっていたが、その後尾根を離れて沢の右岸の方に歩いていった。何かあるのかと思ったが、この時点では理由はわからず、我々は予定通り左岸尾根をまっすぐ登る。

やがて森林限界。雪原が広がり、台形状の外輪山が目の前に現れる。
まださほども歩いていないが、朝食が早かったためいいかげん腹が減り、ここでいったん間食をとる。まだまだ先は長い。

11:39 1266m<br />滝ノ小屋手前でヤブ漕ぎ
11:39 1266m
滝ノ小屋手前でヤブ漕ぎ
11:56 1282m<br />滝ノ小屋
11:56 1282m
滝ノ小屋

しばらく雪原を歩き、そろそろ滝ノ小屋かというところで行く手をヤブに遮られる。赤テープや真新しいトレースもあったのでなんとか通れるかと思ったがダメだった。
先ほどの3人組が澄郷沢右岸に向かったのはこのためのようだ。
引き返すのも面倒なので板を持ってヤブ漕ぎするが、その際、小沢を踏み抜いて片足がずぶ濡れになってしまう。踏み抜くことはわかっていたが、もはやそこ以外歩くスペースがなかったのだ。
幸い気温は高いし、蒸れ防止のため2枚重ねで高機能ソックスを履いていたのが良かったのか、下山するまでまったく気にならなかったのではあるが。

11:54 1280m 滝ノ小屋。この時期はまだ営業していないが、避難小屋として使えるらしい。かなり立派でなかなか快適そうだ。
昨晩ここに泊まったらしきボーダーさんたちがちょうど下山準備中だったが、たしかにここを拠点にあちこち滑りまくるのもいいかもしれない。

12:19 1423m<br />小屋の上はきれいな雪渓
12:19 1423m
小屋の上はきれいな雪渓
12:37 1511m<br />標高1500mの平原
12:37 1511m
標高1500mの平原

ここから上は鳥海山らしいスッキリした無木立の雪渓になる。ここまで登ってやっと吹浦口や矢島口と同じようなスタート地点に立てたな、という印象だ。

滝ノ小屋から250mほど登ると一気に傾斜は落ち、目の前に広大な平原が開ける。
しばらくこの平原を歩くが、吹きさらしのため風が非常に強く、昨日までの疲れも出てきたこともあり、なんだか急速にやる気が失われる。
先ほど間食をとったばかりだが、全然保たずに早くもシャリバテになってきたことだし、とりあえずこの辺りで昼休憩にしましょう。

12:38-12:59 1513m 河原宿小屋下1515m。ここで昼休憩。
ここからは外輪山の様子がよく観察できる。
予定していたルートはこのまま真っすぐ伏拝岳を目指すものだが、このルートは外輪山のすぐ下まで雪渓が延びているものの、途中2箇所ほどハイマツで分断されている。
それに対し、北西に見える雪渓は外輪山のだいぶ下で終わっているようだが、いちおう切れずに繋がっている。後で確認すると「心の字雪渓」と呼ばれている斜面で、昭文社の登山地図には下部が大雪路、その上が小雪路と記載されている。
どうせ外輪山まで登る時間はないし、もはややる気も失せている。とりあえず雪渓が繋がっている北西に向かい、大雪路か小雪路辺りで引き返すことにしよう。
ちなみにダマはというと、ザック内でプリンが破裂していたらしく、あらゆるものがプリンまみれになってブルーになっている。そのせいでもないだろうが、やはり途中までで良いとのこと。

休憩後、登る準備をしていたら先ほどの3人組が滑り降りてきた。この平原で引き返すことにしたらしい。地元の方で、今シーズンすでに何回かこのルートを登っているとのこと。なので必ずしも山頂を目指していたわけではないようだが、我々の手伝いをしていなければもっと余裕を持って行動できたはず。申し訳ないことです。

13:49 1805m<br />小雪路の登り
13:49 1805m
小雪路の登り
14:09 1940m<br />雪渓は北西に延びている
14:09 1940m
雪渓は北西に延びている

12:59 休憩後、平原を横切って北西の大雪路へ。
30分ほどで大雪路を登り切ると、いったん傾斜は緩やかになる。
場合によってはここで終了にしてもよいと思っていたが、風がおさまって多少やる気が出てきたし、まだ余力はある。
ということで引き続き小雪路へ。
さらに30分ほど登り、そろそろ雪渓終点か、というところまで登ってみると、それまで尾根に隠れて見えなかったが、雪渓は尾根を越えてさらに北西へ延びている。
正直もういいやという感じだったが、惰性で登り続ける。とりあえずちょっと上に見えるスカイラインを目指し、そこまで登ったら次どうするか考えよう。

14:19 2011m<br />伏拝岳
14:19 2011m
伏拝岳
14:21 2007m<br />千蛇谷
14:21 2007m
千蛇谷
14:28 2000m<br />外輪山上の登山道
14:28 2000m
外輪山上の登山道
14:30 2000m<br />新山と千蛇谷源頭
14:30 2000m
新山と千蛇谷源頭

14:19 2010m。目指していたスカイラインに着いてみると、実はこれが外輪山だった。伏拝岳と文殊岳の中間辺りだ。
完全に諦めていただけに素直にうれしい。山頂まで登ったわけでもないのに、なぜだか不思議に達成感まである。
ここまで登ると新たな景色も開け、外輪山の向こう側の新山や千蛇谷なども一望できるようになる。南側の外輪山に立つのは初めてなので、なかなか新鮮な風景だ。

ここから外輪山上をちょっと下ったところが文殊岳。伏拝岳と違ってすぐ近くだし、整備された登山道も通っている。せっかくなので目印のある地点をゴールにしようと、スキーをデポして行ってみる。

14:31 1997m<br />笙ヶ岳方面
14:31 1997m
笙ヶ岳方面
14:33 1997m<br />文殊岳より新山
14:33 1997m
文殊岳より新山

14:28-14:34 2000m 文殊岳。
山頂はきれいにハイマツが切り払われていてそこそこ広い。
見晴らしも良く、扇子森や笙ヶ岳など西鳥海の様子もよく見える。
この時間なので、湯ノ台側はもちろんのこと、吹浦口・象潟口からの登山者も全然見当たらない。ちょっと寂しい感じだ。

ここで、明日滑るかもしれない千蛇谷~鳥越川をじっくり観察。
源頭はさすがに雪は少ないが、かろうじて新山のほうから雪はつながっている。ただ、昨年見た外輪山火口壁なんかは荒々しい氷壁と化していて厳冬期の様相だっだが、今年は完全に溶けていてまるで違う山のよう。はじめダマはこれが千蛇谷であることに気づかなかったくらいだ。
上部の雪のなさに比べ、下部の谷筋はそこそこ雪がつながっているように見える。これなら明日滑るのもありかもしれない。

14:51 1985m<br />外輪山からの滑降
14:51 1985m
外輪山からの滑降
14:53 1916m<br />尾根を越え小雪路へ
14:53 1916m
尾根を越え小雪路へ
14:55 1802m<br />小雪路の滑降
14:55 1802m
小雪路の滑降
14:57 1676m<br />大雪路の滑降
14:57 1676m
大雪路の滑降

14:48 2010m スキーデポ地点まで戻り、滑降開始。
もう15時前だが、登り返しなどなく下まで一気に滑れるはずだし、本日は象潟に泊まる予定なので慌てることはない。なにより天気が良くてまだ明るいので心理的に余裕がある。

まずは小雪路まで。眼下は月光川に繋がる広大な渓谷で、なかなか魅力的な景観を成しているが、残念ながらこの谷を滑るわけではない。途中で東側の尾根を越えるべくトラバース気味に滑る。

続いて小雪路。フィルムクラスト気味の非常に滑りやすい雪質で、しかもほとんど荒れていないので力を使わずに自由自在に滑っていける。
昨年の千蛇谷も非常に滑りやすくて感動したものだが、それに負けないくらい面白い。この時期のザラメ雪は得てして滑りやすいものだが、昨年の千蛇谷といいちょっと別格の面白さだ。
大雪路に入っても同様に快適。上部に比べ多少雪は柔らかく、表面のフィルム状の氷もなくなっているが、滑りやすいことに変わりはない。小雪路に比べ斜面も広いため、思う存分滑っていける。

15:00 1577m<br />大雪路下部
15:00 1577m
大雪路下部
15:06 1437m<br />下りは荒木川より
15:06 1437m
下りは荒木川より
15:10 1287m<br />滝ノ小屋上部
15:10 1287m
滝ノ小屋上部
15:13 1234m<br />澄郷沢右岸へ
15:13 1234m
澄郷沢右岸へ

1550m付近からは広い平原となり、ところどころスケーティングが必要になるが、良く滑る雪質なのでさほど手間取らずにあっという間に滑り抜ける。

1520mから再び傾斜は増し、滝ノ小屋に向かってゲレンデのような斜面となる。
まずは往路の1本東側になる荒木川源頭の雪渓を滑り、途中で西側の雪渓に移動。適当に滑っていたらこうなっただけで、特に意味はない。
滝ノ小屋上部は、小屋泊まりの人たちが繰り返し滑ったのか多少シュプールが目立つようになるが、気になるほどではない。
ただ、雨など雪解けによる雪の荒れは多くなり、多少滑りにくくなる。

15:15 1168m<br />澄郷沢への滑降
15:15 1168m
澄郷沢への滑降
15:26 1022m<br />芽鱗の散らばるブナ林
15:26 1022m
芽鱗の散らばるブナ林

15:11 1280m 滝ノ小屋。
このまま往路通りに澄郷沢左岸尾根を滑るとヤブ漕ぎになってしまうため、澄郷沢を越え、右岸の斜面を滑る。
なかなか滑り応えのある無木立の大斜面だが、残念ながら縦溝がひどく、これまでのように快適に滑れる訳ではない。
トレースを頼りにそのまま澄郷沢まで下り、適当なところで左岸尾根へ。ここからは緩やかなブナの林間斜面だ。
しかし、ブナの芽鱗が一面に散らばっていて、板に粘着してロクに板が滑らなくなる。一昨日の月山石転川と同様だ。
まぁブナ林といってもまだ若木で木の間も狭く、雪面も雨でデコボコになっているので元々快適に滑れるような斜面ではない。この程度は良しとしよう。

15:42 891m<br />宮様コースの切り開き
15:42 891m
宮様コースの切り開き
15:56 795m<br />雪を拾って車道を戻る
15:56 795m
雪を拾って車道を戻る

やがて宮様コースの切り開き。ほとんどの人がこの狭いコース内を通ることになるので、シュプールによって芽鱗が掃き清められ、多少は滑れるようになる。
もちろん滑走面に樹脂がこびりついたままなのでスムーズに滑れるわけではないが、先日の月山石跳川に比べればはるかにマシ。逆にスピードが出ないおかげで密生した灌木も無理なく避けられたりもする。

やがて車道に合流。ショートカットして滑り続けることも可能だが、灌木がうるさいので道路上を滑ったほうが楽。路面の雪が切れているところだけ道路脇を滑る。
道路上はスノーモービルの跡が多数ついている。朝にはなかったもので、かち合っていたらイヤだったろうが、圧雪されて滑りやすくなっているので、むしろありがたかったりする。

15:59 775m 到着。
朝、我々が懸命に雪掻きしたところはだいぶ車で通りやすくなったようで、数台の車がここまで登ってきている。明日の山行の偵察をしている人だけでなく、山には縁のなさそうな人たちもその辺をブラブラしている。さすがGWといったところか。

周辺情報

湯の台温泉 鳥海山荘 ★★★・・
日帰り入浴 510円

(2015/5/5)
「山荘」という名前だが、立派なホテル。
旅館やホテルの風呂の場合、夕方以降は宿泊者のみになるところも多いが、ここは21時まで外来入浴可能。
泉質はさほど特徴を感じなかったが、露天風呂からの眺望はすごい。
塀や樹木など遮るものがなく、だだっ広いだけの高原がはるか彼方まで広がっているのだ。
美しさに感動するというより、ちょっと呆気にとられる感じ。
方角的に鳥海山が見えないのは残念だが、代わりに遥か遠く月山や、日本海に浮かぶ粟島まで見えるらしい(この日は気づかなかった)。
鳥海山の周りには安くて素晴らしい温泉施設がいろいろあるが、ここは湯ノ台口から近いし、湯ノ台コースを滑った後は今後もここになるだろう。


漁師めし とりみ ★★★★・

(2015/5/5)
  とりみ定食 2,000円 ★★★★★

国道7号沿いにあり駐車場も大きく結構目立つのに、他の観光客向け(というわけでもないだろうが)の料理屋に比べ、GWの夕飯時というのにほとんど客がいない。
が、魚介を中心に魅力的なメニューだし、値段も手頃。そして美味しい。かなりお勧めだ。
とりみ定食には季節の刺身盛り合わせや、煮魚 or 焼魚などがつく。
煮魚・焼魚はその日仕入れた魚から選ぶことができ、いろいろ(忘れた)あった中でキンキの煮魚を選択。
これが実に立派で、都内のスーパーで買えば生でも結構な値段を取られそうなもの。
刺身も美味しいし言うことなし。


(2016/5/3)
  とりみ丼 1500円 ★★★・・

この日は入店時点でほぼ満席。しかも時間が重なったようで、出てくるまでかなり待たされた。自分はヤマレコの記事を書いていたので時間をつぶせたが、ほかの客は相当イライラしていた。店員さんが申し訳なさそうにしていたのが救い。
昨年の「とりみ定食」はかなり魅力的だったが、この日はカウンター席だったので大げさなものは頼みづらく、さらには出てくるまで時間がかかりそうだったので、海鮮丼の豪華版たる「とりみ丼」を頼む。 ただ、これは少々期待外れ。具材はすべてありきたりで、味も普通。これで1500円は高く感じる。