※1 ... 休憩時間を除いた実移動速度
中の湯温泉ツアーの2日目は安房山。山スキーコースとして古くから知られた山ではないが、最近出たガイドブックによると、北西面に素晴らしいオープンバーンがあるらしい。
この山には実は昨年も登ろうとしたのだが、太板のダマが急斜面を登れずに相当な時間を喰い、さらには日本中大荒れ(この辺はそうでもなかったが)ということで早めに帰ろうと、いくらも登らないうちに中止している。
そういう意味では、個人的には昨日の焼岳より楽しみにしていた。
08:27 1510m 中の湯温泉発。
昨日同様に旅館の裏を直登し、車道をショートカットする。宿の南側の斜面を登ればさらに距離を縮めることができるのだが、それなりに斜度がありそうなので、急がば回れということで、昨日我々が付けたトレースを登っていく。
昨年は九十九折りの車道を間違って無駄に一段上まで上がってしまったが(そしてダマはその一段30mほど登るのに1時間以上かかったが)、今年はむろん間違えない。
09:00 1625m 上高地乗鞍スーパー林道との分岐路。
ここから車道を離れ、安房山北尾根に続く東斜面に取り付く。
昨年はここまで2時間半もかかり、そしてダマがおろし立ての八甲田FPSでこれ以上登ることができず、この斜面をいくらも登らないうちに断念している。
今年はさすがに大丈夫だが、シールが効きにくい雪質で、ダマはそれなりに苦労はしている。
09:50 1898m 安房山北尾根の稜線上に到着。
ここから先は単純な尾根をのんびり歩くだけと思っていたが、尾根上は雪面が波打ち、木が密集した箇所もあるので歩きづらい。ところどころ西側の斜面に回り込む必要があり、意外と手こずる。
2180m付近からは急斜面。ここを登りきれば頂上までわずかな緩斜面が残っているのみなのだが、ダマはなかなかやってこない。これくらいの斜度ならシール登行できる技術はついているはずなのだが、雪質があわないのか、だいぶ苦労しているようだ。
11:30 2219m 山頂。
話には聞いていたが巨大なアンテナが立ち並び、立派な建物まである。後日調べると、国土交通省の中継アンテナ用の発電設備のようだ。
木が密集して景色はあまり良くないとどこかで聞いた気がするが、思い違いだったようで、特に穂高方面は遮るものがないため、上高地からそびえ立つ岳沢の全貌を見ることができる。そして間近に焼岳の雄姿、西には白山も浮かび上がり、なかなかの景色である。
11:55 滑降開始。
まずは緩やかな稜線上をしばらく戻り、途中で西斜面を滑り降りるはずなのだが、ドロップポイントがわからない。木が多く、斜度も急なため下の様子がよく見えないのだ。仕方ないのでGPSの設定を頼りに適当な場所から降りてみる。
ちょっと降りると、コース幅はさほど広くはないが適度な樹間の斜面が現れる。ガイド本に書いてあるような「こんなところに」とビックリするような斜面ではないが、とりあえずここを滑っていけばいいだろう。
しかし……
コース自体はともかく、とてつもないモナカ雪。昨夕多少の降雨があり、そこから一気に冷え込んだため、中はふんわり、表面はパリパリである。今回の3ピンステップソール板では、強引にジャンプターンを決める以外の方法でターンできる気がしない。
おまけに傾斜が急で、無木立の沢筋など、たとえモナカ雪といえど雪崩が怖くて無造作に滑っていられない。ということで、樹林帯の苦手なダマ、急斜面が苦手なピエールは相当苦しんでいる。特にダマは登りの段階からモチベーションが下がっているのでなおさらである。
途中でGPSを確認すると、予定していたコースは右の尾根の向こう側の斜面の様子。
GPSのルート設定がいい加減で、途中で尾根をまたぐような設定にしてしまったせいだ。
緩斜面ならまだしも、このような急斜面で尾根を越すのははなはだ困難。一応トラバースして尾根の向こう側に出ようと試みるが、樹間が狭かったり、地図上には現れない急峻な枝尾根や小沢があったりでそう簡単に尾根を越せない。結局あきらめて元の斜面を滑ることにする。
まあ予定していたコースに出たとしても、日陰がない分、雪質はこちらより悪いだろうし、コース幅だってそう広くはないようだ。であれば今滑ってるコースとさほどの変わりはないだろう。
13:04 1697m 小船。
ここから登り返し地点地点まで斜度のほとんどない平原の滑降となるが、雪がしまっているため非常に快適。これまでの苦労と一変、あっという間に登り返し地点まで滑り抜ける。
途中で本来のコースの下を通過するので見上げてチェックしてみるが、少なくとも下部については、雪崩が怖くてとてもじゃないが滑りたくなるような斜面には見えなかった。
13:10 1659m ここから1911m南のコルに向け登り返し。
ブナの疎林帯で、斜度も手頃。雪質はまあ良くないにせよ、どうせならこういう斜面を滑りたかった。
13:45 1911m点南のコルに到着。
ここから最後の下り。予定は中ノ湯へ一直線の北東の沢だが、登ってきた東斜面でもよい。広く、木もまばらな東斜面のほうが滑りやすいが、北東の沢であれば雪がまだマシかもしれない。ダマもそちらで良いというので、一縷の望みをかけ、予定通り北東の沢を滑ることにする。
14:15 滑降開始。
望みもむなしく、再び悪雪が待ち受ける。むしろこちらの方が酷いかもしれない。木のほとんどない魅力的な斜面なのだが、いかんせんこの雪ではロクに滑れない。もっと雪のいい時期に滑りたいものだが、新雪であれば雪崩の心配をしなければならないし、もっと時期の遅いザラメの時期にはヤブだらけでまともに滑れないような気がする。そもそも下部は雪崩の防護柵が乱立しているようなところで、一般的なスキーコースとするにはちょっと無理がある。
14:39 1655m 林道。
だいぶ苦労した。後は林道をショートカットしてすぐ下に見える宿に直接滑り込むだけ。木は多いが、宿の手前まで下るとやっと雪も緩くなり、そこそこ滑れるようになる。
それにしても軽い半日コースのはずが、もはや15時前になってしまった。個人的には本来のコースがどういうところか見てみたいし、再チャレンジしたいところだが、ダマはもう来ないかな?